なぜ急速に普及が進んでいるのか

なぜそれほど急速に普及が進んでいるのかというと、政府が導入の旗を振っているからです。このタイプの車両で、一定の要件を満たすと、ユニバーサルデザインタクシー(UDタクシー)の認定を受けることができます。

UDタクシーとは、国土交通省のホームページによれば「健康な方はもちろんのこと、足腰の弱い高齢者、車いす使用者、ベビーカー利用の親子連れ、妊娠中の方など、誰もが利用しやすい“みんなにやさしい新しいタクシー車両”であり、街中で呼び止めてもよし、予約してもよし、誰もが普通に使える一般のタクシー」とあります。

とはいえ、特別仕様の車両なので価格は300万円以上しますので、タクシー会社としてもそうそう簡単に入れ替えはできません。そこで、政府が用意したのが補助金です。

一定の手続はありますが、UDタクシーに認定された車両を導入する際には、1台当たり国から60万円の補助金が出ます。このほか、各都道府県によって差はありますが、東京都を例にとると、国からの補助金に加えて40万円、合計100万円の補助が出るのです。

実はこの補助金の制度、東京都の場合は今年5月に大幅な改正がされました。従来は国から60万円の補助を受けると、都からは補助を得られなかったのですが、今年5月15日以降は国の補助金に加えて40万円まで出してもらえることになったのです。

こうした事情から、今年5月15日以降は普及がさらに加速している可能性が高いといえます。そのせいかもしれません。ドアに五輪マークが入ったタイプの「トミカ」も今年発売になっています。

スライド式で期待される法令順守

このタクシー車両に普及によって期待されることがあります。タクシーは当たり前のように横断歩道上で乗客の乗降をさせています。信号待ちをしていると目の前にタクシーが滑り込んできて、行く手を阻まれたという経験がある人も少なくないのではないでしょうか。

タクシーを拾う人が、横断歩道上でタクシーを止めたために行く手を阻まれるという例も多そうです。ビジネスマナーの研修ではタクシー車内での乗車位置は教えますが、タクシーの止め方までは教えませんから、信号待ちをしている人の邪魔になる止め方をしているという自覚がある人はほとんどいない印象です。

タクシーに行く手を阻まれているうちに信号が変わってしまい、横断する機会を失うお年寄りも、たまにですが見かけます。このため、筆者がタクシーに乗車した時は、横断歩道上にかからないように停車してほしいと頼むのですが、ほとんどの場合、ドライバーは嫌がります。

セダン型だと、ドアを開けた時に植え込みやガードレールにドアが触れて傷がつくのが嫌なのです。しかし、横断歩道上はいかなる理由があっても駐停車禁止ですから、タクシーが当たり前のようにやっている行為は道路交通法違反です。

この点、UDタクシーのドアはスライド式ですから、横断歩道上ではない場所でドアを開けても、ガードレールなどでドアが傷つく心配はありません。これを機に、タクシー会社には横断歩道近辺での停止マナーを考え直してほしいと考えます。