はじめに
クレジットカードや電子マネー、スマートフォンのQRコード決済など、キャッシュレス決済が日本国内でもじわじわと浸透してきています。10月1日の消費増税を機に、キャッシュレスのポイント還元がスタートし、最近になってキャッシュレス決済を使い始めたという方も多いのではないでしょうか。
キャッシュレス決済についての話題が挙がるとき、よく「日本は遅れている」と表現されます。もちろん、国によって違いはあるのですが、欧米など先進国ではちょっとした買い物をする際にもカード払いが可能だったり、「現金お断り」という先鋭的なお店があったりすることもあります。特に、スウェーデンなど北欧ではキャッシュレス決済の浸透度が高く、レストランやカフェなどでは逆に現金が使えないというお店が多くなってきています。
小銭すら不要な国も
欧米だけでなく、中国では屋台でもQRコード決済が可能なように、日本よりもキャッシュレス決済が普及している国が多いことは確かです。移動もタクシーではなく、「Uber」などの配車サービスを利用すれば現金いらずで終わってしまいます。
盗難や紛失など現金をたくさん持ち運ぶことにはリスクがつきものなので、キャッシュレス決済の普及は旅行者にとって大きなメリットがあるといえます。北欧などでキャッシュレス決済が急速に浸透している理由のひとつは、お店で現金を保管する必要がなくなれば、強盗などの犯罪防止につながるためです。
では、現金を全く持って行かなくても海外旅行が成立するのでしょうか? 旅行記ブログやSNSを探すと、「現金を一切使わずに●●を旅行した」という投稿を目にすることもありますね。それこそ、「現金お断り」の北欧などであれば現金を持って行っても、出番がないまま終わってしまいそうです。
かくいう筆者も3泊5日の短期の米国滞在で一度も現金を使わなかった経験があります。カード社会の米国では、コーヒー1杯レベルの支払いもカードで済ませることが可能です。スプリットといって、レストランでの支払時に人数分のクレジットカードを出せば、簡単に割り勘ができてしまいます。結果的に、滞在中1度も現金を使う機会がなかったのですが、財布の中には過去に渡米した時の残りの米ドルが入っていました。現金を使う場面がないのと、現金を持っていないのでは、意味が大きく違います。いくらカード社会だといっても、1ドルも持たずに旅行する覚悟はまだ持てません。
欧州だと公衆トイレが有料のケースが多く、小銭を持っていないと大ピンチ!なんてこともあり得ます。公衆トイレに限らず、屋台や露店での買い物、コインロッカーやコインランドリーなど、メインの支払いほとんどがカードでできても、旅行中のちょっとした場面で現金が必要になる場面は十分想定できるので、完全キャッシュレス海外旅行の実現はもう何年か先の話になりそうです。もっとも、スウェーデンあたりのキャッシュレス先進国では、トイレの小銭すらカード払いのみというケースもあるので、他の国でも現地通貨を一切持つことなく旅行が完結する日が近い将来にやってくることは間違いないといえます。