はじめに
カード払いで気をつけるべき点
旅行者にとって、キャッシュレス時代の到来は大きなメリットがありますが、キャッシュレスだからこそ、気をつけなければいけないこともあります。海外でクレジットカード払いをする際に気をつけなければならないのが、チップ額の設定と通貨選択です。たとえば、海外のレストランで食事をしたとします。カードで支払いをする際、ウエイターがテーブルに持ってくる伝票にはサインの記入欄の他に、とチップ額を記入する欄と支払い通貨を選択する項目が設けられていることがあります。
チップ文化が定着している米国などであれば、飲食代の15―20%ほどを目安にチップ額をそこに書き込み、最後に合計金額を書き込みます。気をつけなければいけないのが、チップ文化のない国であるにも関わらず、伝票にチップ記入欄がある場合です。その場合、×印を書き込みます。空欄にしたまま伝票を渡してしまうと、勝手にチップ額を記入されてしまう可能性があります。日本人旅行者が、5000円程度の飲食に対し、10万円ほどのチップを請求されたケースも過去にありました。
また、通貨選択欄にも罠が仕掛けられています。「USD or JPY(米ドルか日本円)」や「EUR or JPY(ユーロか日本円)」といった形で支払い通貨を選ぶことができるのですが、現地通貨ではなく日本円建てを選んでしまうと店側が独自に設定したレートで計算された額が請求されます。当然、店側に有利な手数料が乗せられたレートです。日本円建てを選んで得する場面はまずありません。あるとすれば、カードの支払い日から、引き落とし日までの間に極端な為替変動が起こった場合ぐらいでしょうか。海外でクレジットカード払いをする時に支払い通貨を聞かれたら、現地通貨にすると覚えておくことをオススメします。
支払い通貨の設定があることを客に知らせずに、店側が勝手に日本円建てを選んでしまう悪質なケースもあるので、注意が必要です。不慣れな外国人旅行者につけ込んでやろうという人たちがいるのは、どの時代でも変わりません。現金払いが主流だった頃は、おつりをごまかしたり、ニセ札を混ぜたりでしたが、キャッシュレス時代になって手口が変わってきた格好です。キャッシュレスで盗難や紛失のリスクが減っても、旅行中に細心の注意が必要なことに変わりはありません。
(協力・合同会社丸山製作所)