はじめに

女性用生理用品の税率引き下げも

前書きで「スペインは軽減税率の先輩国」と書きました。この国でIVAの軽減税率が採用されたのは1986年からです。その後、何度かこの軽減税率が改定されましたが、そのたびにスペイン国内で様々な議論を巻き起こしました。

1986年に租税システムとしてIVAが正式に採用されると同時に、最初の軽減税率も適用されることになりました。当時の税率は33%・12%・6%の3種類。最低税率の6%は生活必需品や食料品・衣料品などに課税され、その一方で33%の税率はカラーテレビなど、当時の高級品であったものに課税されました 。

スペインでIVAが最近改定されたのは2018年のことです。この時、コンサート・演劇・スポーツ・闘牛などの入場料へのIVAが10%から21%に値上げされました 。しかし、スペイン人の歌手や俳優、スポーツ選手たちがこの動きに対して反対の意思を表明し、増税反対のキャンペーンを展開します。その中には、有名な闘牛士も含まれていました。こうしたキャンペーンにより、スペイン政府はこの産業の増税計画を白紙撤回し、以前と同じ10%の付加価値税への課税に戻すことを決定しました。

また、同時期には、女性用生理用品への軽減税率適用も議論の的になりました。当初こうした商品の税率は21%でしたが、スペイン国内のフェミニスト団体からの抗議もあり、2018年にスペイン政府は同商品の税率を10%に引き下げ、また2019年中には4%まで税率を引き下げることを決定しています 。

1985年にスペインがヨーロッパ経済共同体 (EEC) に正式加盟したことにより、スペイン経済に姿を現したIVAの軽減税率制度。その税率や商品の変更には、その時々のスペイン国内外における社会的・政治的・文化的状況が強く影響しています。そしてこの制度は、もはやスペインの人々の生活にしっかりと組み込まれているのです。

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