毎年恒例の「証券アナリストによるディスクロージャー優良企業」が、10月9日に発表されました。日本証券アナリスト協会のディスクロージャー研究会が、毎年この時期に約3,700社ある上場会社の中から選定・表彰していて、今年で25回目になります。

“企業分析のプロ”である証券アナリストの目から見て優良と評価できる企業のIR姿勢は、個人投資家にとっても今後の投資判断の参考になるはずです。今年はどんな会社が表彰されたのでしょうか。


評価対象は全上場会社の1割

この表彰制度では、業種別部門、新興市場部門、個人投資家向け情報提供部門に分けて選定しています。評価対象になっている企業数は、順に276社、28社、29社。合計で333社と、全上場会社の1割にも満たない社数です。

業種別部門の評価対象が、東証1部上場かつ17業種の時価総額上位の会社に限定されていることが主な理由。東証1部に上場している企業数は約2,100社ありますから、その1割強だけが証券アナリストの目に止まり、評価の対象になっているわけです。

評価に参加しているアナリストは延べ544名。1人で何銘柄もカバーしているアナリストがいるので「延べ」です。

アナリストは所定のスコアシートに記入する形で評価に参加しているのですが、その資格があるのは、

(1)証券アナリスト経験3年以上
(2)現在担当しているセクターをおおむね2年以上担当している
(3)記入対象の企業と過去1年以内に4回以上接触している
という3つの条件をすべて満たしている人。逆の見方をすれば、年に4回以上アナリストの取材に対応している企業でなければ、そもそもスコアシートの記入対象にはならないわけです。

どんな企業が表彰されたのか

それでは、今年はどんな企業が表彰されたのかを見ていきます(18分類別の詳細はこちら)。

業種別では、受賞回数が多い会社が目立ちます。食品部門のアサヒグループホールディングスが3回連続で15回目。コンピューターソフト部門の野村総合研究所は3回連続で11回目。建設・住宅・不動産部門の大東建託は9回連続で10回目。鉄鋼・非鉄金属部門の住友金属鉱山が9回連続9回目です。

初受賞は去年から2社増えて5社。トイレタリー・化粧品部門の花王、エネルギー部門のJXTGホールディングス、通信・インターネット部門のGMOペイメントゲートウェイ、小売業部門のパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(旧ドンキホーテホールディングス)、広告・メディア・エンタテインメント部門のオリエンタルランドです。

新興市場銘柄では、今年はSHIFT、ティーケーピー、ユーザベースの3社が受賞しました。3社とも初受賞です。SHIFTは先日東証1部に指定替えになりましたので、来年はこの部門での評価対象から外れます。

個人投資家はどう参考にすればいい?

昨年の受賞会社はプロトコーポレーション、セリア、ハーモニック・ドライブ・システムズで、プロトは8回目、セリアは5回連続の5回目、初受賞はハーモニックだけでした。

このうち、プロトは東証1部に指定替えになってこの部門での評価対象ではなくなり、セリアは7位に後退。ハーモニックは市場変更をしていないのに評価対象から外れているので、カバーしているアナリストの人数が減ったか、時価総額が基準に満たなかったかのいずれかでしょう。

ディスクロージャーが優良でも、それが投資家に評価され、時価総額も一定以上でなければ、この賞では評価対象にすらなりません。

最近は、これまでやっていなかった決算説明会をやり始めるなど、ディスクロージャーに積極的になる会社が増えています。2部上場はそもそもこの賞の評価対象外ですし、アナリストがカバーしきれていない銘柄の中にも、ディスクロージャーが充実している会社はたくさんあります。

興味を持てる銘柄が出てきたら、その会社のホームページで決算説明会資料を探し、載っていれば一読されることをオススメします。