はじめに

フィンテックはEC同様の成長をたどるか

フィンテック市場の高い成長性と、米中摩擦の悪影響緩和への期待を背景に、中国は8月22日、「フィンテック発展計画(2019-2021)」を初めて策定しました。2021年までにフィンテック発展の骨格を確立することを目標としています。

計画では、金融業におけるITの応用力をさらに強化し、金融とITの高度な融合と調和のとれた発展を実現。人々のデジタル化やネットワーク化、スマート化金融商品に対する満足度の向上を図り、中国のフィンテックを世界先進レベルに引き上げることを目指すとしています。

6つの重点施策が定められ、国内金融市場をさらに開放していくうえで、フィンテックがリスク防止の役割を果たすことへの期待が込められています。

2015年に中国当局があらゆるものとインターネットをつなげる政策として打ち出した「インターネット・プラス」が、その後の中国のインターネット金融・小売りの著しい市場拡大につながった経緯を振り返れば、「フィンテック発展計画」が中国経済のさらなるサービス化の加速を導くとみてよいでしょう。

また、日本銀行の黒田東彦総裁は10月20日の講演で、新興国において「金融包摂(家計や企業が適切な金融サービスにアクセスを有し、効果的に利用できること)」が経済成長につながるという見方は広く政策当局者の間で共有されており、ソフト面ではフィンテックの活用も有効、との見方を示しています。

金融包摂は「持続可能な開発目標(SDGs)」の「誰一人取り残さない」成長につながるものでもあり、今後の市場拡大が期待される分野といえるでしょう。

<文:シニアストラテジスト 山田雪乃>

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