はじめに
アルピナ最良のライバルはBMW M
そんなアルピナの日本導入1号車は「B7ビターボ」というクルマで、1979年に上陸しました。もちろんこの時のインポーターはニコルですが、以来40年、地道に少量生産の上質なアルピナを販売し続けて来たわけです。
今回のモーターショーでニコルのブースには、初導入から40周年を迎えられたことに対する感謝のメッセージも掲げられていました。これまでに約5,300台が輸入されてきましたが、単純に年割りにすると年間130台少々ですから多いとは感じません。
しかし、年間で多くても1,700台ほどの少量生産モデルの約20%が、現在では日本で販売されているのです。当然、アルピナは日本の市場を大切にすることになります。また「品質に厳しい日本のユーザーの意見は重要です」ともニコル側は言っているのです。
アルピナは大量生産が効かないハンドメイド。精密さと上質な仕上げにこだわるがゆえに、その生産台数は自然と少なくなりますから、BMWといった大プロダクトから登場するモデルとは、少しばかり意味が違って来るわけです。ではオリジナルのBMWとはどう違うかが気になります。
バブル経済華やかなりし頃、ノーマルのBMWについてですが、どこかで耳にしたことがあるかもしれませんが“六本木のカローラ”などと呼ばれた時代がありました。珍しくもなんともないとまで言われていたのです。そんな中でアルピナは、見かけることも少ないと言った希少性や、少々お高いお値段のおかげでオリジナルよりちょっぴり上を行く高級品としてのポジションがありましたし、いまもそれは変わっていません。
当時の女子たちは「アルピナなら乗ってもいいわ」と言っていたという話もよく耳にしました。アルピナのこうしたブランド力だけでなく、もちろんパフォーマンスも魅力的です。力まかせの“速ければいいだろう的”なカスタムとは、チョット違った品のある佇まいは、クルマに興味を持つ人にとって特別な存在としてすっかり定着しています。そして現在、オリジナルのBMWにはMシリーズという高性能モデルがしっかりとあって、相当な人気を得ているのですが、パフォーマンス面ではアルピナの最良のライバルとして比較対象の筆頭に来ると言えます。
このBMW Mシリーズと価格以外に両車の明確なる差とは何なのでしょうか? 早速、最新のスポーツ・ディーゼル、アルピナのXD3ビターボの試乗で答えを探してみましょう。
操作系やメーターなどレイアウトなどはBMWと同じだが、ステアリングの中央にアルピナのエンブレムが誇らしげに着く。