はじめに
日本株はどう動く?
一方、長らく他市場からの出遅れを指摘されてきた日本株ですが、ここにきてその出遅れを取り戻す動きがみられます。11月に入り、日経平均株価は2万3,000円台を回復するに至り、年初来高値を更新してきています。
株式需給面で海外投資家の日本株売りに一巡感が見え始める中、世界的なリスクオンによって円安が進行したことも追い風です。
また、日本株の上値を抑える一因として見られてきた消費増税が10月から予定通り始まったものの、大きな混乱は見られず、今のところ消費への悪影響も限定的との評価にとどまっていることも、安心感につながっているようです。
7~9月期の決算発表では、中国の影響を引きずるセクターを中心に冴えない決算となりましたが、逆にそこを悪材料出尽くしのタイミングとしてとらえるムードも強まっています。
10月のIMF(国際通貨基金)による世界経済見通しの改定では、多くの国・地域の成長率見通しが下方修正される中、日本については2019年が据え置き(0.9%成長)、2020年については上方修正(0.5%成長)されました。もともとの成長見通しが低いことも一因とみられますが、日本経済のモメンタム(勢い)悪化が十分に織り込まれた結果とも受け止められます。
年内の米国の追加緩和の可能性が後退した結果、為替は円安のバイアスがかかりやすくなるとみられ、この点も日本株の支援材料となりそうです。日本株の視界を遮る要因が1つ1つクリアされつつあるイメージで、相場に対する目線も引き上げるべきタイミングととらえています。
<文:投資情報部 チーフ・グローバル・ストラテジスト 壁谷洋和>