はじめに
「モノ」の切れ目が……
そして、ここからは「モノで人の心を動かす」という手法がいかに意味がないか、という話になります。小学校時代のことを思い返すと、金持ちの家に生まれた同級生が、お小遣いをくれたり、最新鋭の文房具をくれたりしていました。それが目当てで我々は彼と放課後遊んだりしていたのですが、結局カネの切れ目が縁の切れ目。彼が自分よりも仲良くしたいと思う対象を見つけたところで、当然それまでの「子分」だった我々も彼から離れていくのです。
私自身、これまでに様々な女性と色々ありましたが、前出の「マフラー」以外にプレゼントをしたことはありません。ある程度の年齢になったら食事代ぐらいは出すものの、プレゼントは一切なし。それでも色々と楽しい思いはできたので、「下心のあるプレゼント」をすることの合理性を一切感じないのです。
冒頭のキャバクラ嬢の会話ですが、「40万円のバッグ買ってくれたし、5万円くれたからヤッたわ」の後に続く、お相手男性への評価がひどい。「クサい」「ダサい」「不細工」「キモい」と罵詈雑言のオンパレードです。彼女にしてもそんな男と事を致したことはまったく幸せではないものの、高額プレゼントと現金の力の前に屈したわけです。男にしても、その下心を満足させるために多額のカネを払い本懐を遂げた。
結論としてはどっちもどっちのお似合いの男女なわけですが、「下心のあるプレゼント」の行きつく先はコレなんですよ。時々、雑誌の法律相談やら悩み相談で「これまでに彼女にプレゼントしたものをすべて返してもらいたい」とか「彼氏と別れる時に、これまでにプレゼントされたものを返して欲しいと言われたものの、質屋に売ってしまっており現品がない。どうすればいいか」みたいなものがあります。
カネに頼らない人間関係を作る
結局、「モノ」で獲得した人間関係というものは、それ以上カネがなくなったら終わってしまうものですし、終わってしまったら「あの投資額をどうしてくれる!」と下心を持った側が怒り狂うだけなんですよね。もらった側にしても「一度もらったものなんだから、所有権は私にあるわけでしょう? その後どうしようがアンタの知ったこっちゃないよ!」とキレたくなる。そりゃそうですよね。
「モノ」を介さない関係性を作っておくと、結局は「好きか嫌いか」だけの勝負になるんですよ。だからこそ、「下心のあるプレゼントをしない」ということを心がけておけば、案外良い恋人や友人に恵まれることとなります。仮に一生の付き合いや配偶者になる人の場合、金銭感覚と物欲が同等であれば、諍いはあまり起こらないものです。
「相手を喜ばせたいプレゼント」と「下心があるプレゼント」――自分はどちらをするタイプかを一度分析してみたいかがでしょうか。後者の側面も持っているのであれば、今後ますます稼ぐ必要が出てくることでしょう。特に、年を重ねれば重ねるほどルックスは衰えていくもの(私自身がそれは日々感じています)ですし、出会いのチャンスも減っていく。「下心があるプレゼント」をし続ける人はより多額のカネがかかってしまいます。
そういった中高年以降を過ごさぬためにも、「相手を喜ばせたいプレゼント」だけをする人生を若いうちからしておくことが肝要です。さすれば「モノ・カネに頼らない人間関係」を構築することができますし、出費を減らすことが可能になります。