はじめに

分析結果をどう読み解けばよいのか

分析結果には、少し変わった特徴があります。「ある程度減らした企業」のその後の株式パフォーマンスが最も良かったことです。これは事前の仮説通りで、エネルギー消費を減らす努力をした企業はその後の株価が上昇する、という結果となっています。

【東証1部上場企業のエネルギー消費の増減とその後3年間の平均株式収益率】

大幅に減った企業 ある程度減らした企業 ある程度増えた企業 大幅に増えた企業
16.4% 40.7% 38.7% 20.7%

(注)2008年以降、8月末での東証1部企業のエネルギー消費量÷売上高が3年前と比べて「大幅に減った(▲0.002%以上)」「ある程度減らした(±0%から▲0.002%まで)」「ある程度増えた(±0%から+0.002%まで)」「大幅に増えた(+0.002%以上)」で分類し、その翌月から3年間の株式収益率の平均をさらに時系列で直近まで平均
(出所)Bloombergのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

ところが、「大幅に減った企業」と「大幅に増えた企業」は平均収益率が悪いほうから数えて1位と2位です。エネルギー消費が大幅に減ったり増えたりする状況は、企業の努力というより、別の要因が大きいのでしょう。

たとえば、今までとは異なる別のモノを製造するようになり、それに応じて燃料の使い方が大きく変化することなどが考えられます。こうした分析結果から、エネルギー消費を減らす努力をした企業のほうが、より高く評価される傾向がありそうだということが推測されます。

実際に近年は「環境への意識が高い企業に投資すると、パフォーマンスが良くなる」という結果が報告されるようになりました。企業側にとってみると、資料エネルギーを減らすことによるコスト削減が直接利益を高めることにつながる点でも、株価パフォーマンスが高いのは納得できる結果です。

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