はじめに
もっと厳格に割り勘に
さらに「絶対に彼にはごちそうしてもらわない」という女性がいました。リツコさん(32歳)です。
「赤の他人が奢ってくれるって何か魂胆があると思うんですよ。そうでなければ、そんな損をする理由がない。だから私は恋人に限らず、誰にもお金は出してもらわないことにしています」
かつて、会社の先輩にごちそうしてもらい、その後、つきあってほしいと言われたことがあるそうです。そのとき彼女は、ごちそうしてもらったことを非常に重く感じ、告白を断りながら自分の食事代をのし袋に入れて渡したとか。
「食事をごちそうしてもらって告白を断ったら、あまりに失礼だと思ったので。とはいっても奢ってもらったことを恩義に感じたくはない」
告白を断られ、さらに食事代まで返されるのは彼が二重に傷つきそうな気もします。でも、彼女に言わせれば「それは古い感覚」なのだそうです。
世代でかわる奢り奢られ感覚
友だちとも奢ったり奢られたりはあり得ないという彼女、そのほうが人間関係がすっきりすると言います。
「私の世代でももちろんいますよ、彼に奢ってもらって当然と考えるタイプ。でも結局は恋に溺れて男の言いなりになったり、見た目だけでしかつきあってもらえなかったり。もっとしっかりしないと人生台なしにするよっていつもみんなで言ってるんです」
恋に溺れるのは素敵なことではないようです。人はときに恋に溺れ、ドロ沼にはまりこみ、それでも立ち上がって生きていくものだと上の世代は思いがちですが、「それは愚かな生き方」と彼女はバッサリ切り捨てます。
彼女には今、つきあって2年になる彼がいます。彼はスキルを生かして契約社員、彼女はとあるメーカーの正社員です。
「年収は知らないけど、そこそこのマンションに住んでいるので、それなりに稼いでいると思います。だから私にボーナスが出ようとどうしようと彼に奢ったりはしません。誕生日だけですね、お互いにプレゼントしあうのは」
基本的にほしいものは自分で買うことにしているので、誕生日のプレゼントは花束やケーキなど消えてなくなるものが多いのだそう。
「それでいいんじゃないですか。ヘンに残るものをもらっても困るし。今はずっとつきあっていこうと思っていますが、いつどちらかが気持ちが変わるかわかりませんから」
彼女はとても正しいのですが、どこか寂しさを覚えてしまうのはこちらがバブル世代だからかもしれません。