主婦層を主なターゲットとする30分フィットネス「カーブス」の運営会社・カーブスホールディングス(HD)の株式を上場する計画が進められています。主導するのは、「カラオケまねきねこ」などを運営し、カーブスHD株を100%保有する親会社であるコシダカHDです。

実は、その上場手法が実にユニークということで、株式市場で注目されています。なぜコシダカHDはカーブスHDを手放すことにしたのでしょうか。その真意と手法をひも解いてみます。


普通はなかなか手放さない子会社株

一般的に、上場会社が子会社を上場させる場合、親会社が持っている株の一部を売り出しで放出するか、新規に上場する子会社が新株を発行するか、その両方の組み合わせのいずれかの方法をとります。

しかし今回、コシダカHDは同社の株主に、コシダカHDが保有しているカーブスHD株式全部を割り当てる方法をとります。コシダカHDは100%親会社という立場から、1株も持たない“赤の他人”になります。

通常、親会社には「子会社上場で資金は得たいけれど、引き続き子会社の収益は連結決算に取り込み続けたい」というマインドが働きます。ですから、資金的に困っているとか、大きな買収でお金が必要などという理由がない限り、100%手放すということはしません。

親会社側の株主たちにとって、稼げる子会社の上場は不利益に働きます。100%子会社が稼ぐ利益はすべて親会社のもの、つまり親会社株主のものになります。ところが、親子上場をして子会社側に少数株主が付くと、子会社側の稼ぎの中から、その少数株主にも分け前が行く分、親会社側の株主への分け前は減ります。

まして全部売ってしまうとなったら、親会社の株主にとっては不利益でしかありません。 親会社自身の経営が傾いてお金を作らなければならないというような、せっぱ詰まった状況であれば、親会社の株主も「倒産されるよりはマシ」という判断になりますが、そうでなければ基本、反対します。

コシダカHDが全株売却に踏み切る理由

それではなぜ、コシダカHDはカーブスHD株の売却に踏み切るのでしょうか。実は、今回のようなやり方をすれば、親会社の株主はまったく不利益を被りません。今まで親会社を通じて所有していたカーブスという会社を、直接保有する形になるからです。

一方で、稼ぐ子会社が連結から外れてしまうコシダカには一見、何のメリットもないように映ります。実際、コシダカHDという法人にとってのメリットはありません。

しかし、この会社の創業者で、現在も社長として経営の最前線に立つ腰高博氏は、本人名義に共同保有分を含めると、38.47%の株式を保有しています。カーブスHD株式はすべてのコシダカHD株主に、保有割合に応じて配分されますので、腰高氏はカーブスHDにおいても38.47%を保有する筆頭株主であり続けます。

カラオケとフィットネス、両方の事業を成長させたい腰高氏としては、影響力はそのままに、カーブスHDを衆人環視の上場市場に放り込むというショック療法で、カーブスのお尻を叩こうということのようです。