はじめに
色々と試したら、これで良かった
次に「パーキングアシスト」です。これはビギナーや女性にとってもっとも苦手な縦列駐車を、ステアリング操作無しでこなしてくれます。まず、システムが駐車可能なスペースがあるかどうかをセンサーが測定します。その上で駐車スペースがあると判断すると、ステアリング操作をドライバーに代わって自動的に行いながら駐車してくれます。
ドライバーは音によるガイダンスとコントロール・ディスプレイに表示される指示に従ってアクセル・ペダルとブレーキ・ペダルを操作するだけ。これも便利で安全なシステムです。
そしてもうひとつアピールしているのが「BMWインテリジェントパーソナルアシスタント」です。これは、ドライバーの音声だけで、さまざまな操作をアシストするというシステムです。
メルセデスにも“は~い、メルセデス”と呼びかけて色々な設定を行うシステムがありますが、BMWも同様のシステムをすでに採用し、今回は1シリーズにも与えたわけです。こちらは「OK、BMW!」とAIを呼び出すと、あなたの音声を認識して、ナビや空調をコントロールすることができるのです。
この時の呼びかける言葉は、ドライバーが自由に設定できますから「ねぇ、◯◯ちゃん」とか彼女の名前を入れたり、嫌いな上司の名前で命令したりと自由ですが、実はそこまで試していません。とりあえずAIはマニュアル、オーナーハンドブックを記憶していて、あなたの愛車の状態を熟知していますから、優秀なパートナーとして頑張ってくれます。
ただ、実際に試したとき、私の滑舌のためかもしれませんが認識ミスがたまに起きました。AIとの会話で車との愛着は確かに湧くかもしれませんが、通じなかったときのもどかしさを感じる場面もたまにありました。
ここまで見てきましたが、新型1シリーズの一押しシステムはまずまず満足できますし、女性ユーザーにも十分にアピールできると思います。
一方、クラス唯一のFRというBMWファンにとっての拠り所をなくしてしまった今回の新型1シリーズ、果たして「これでいいのだぁ~」と手放しで言えるのかどうか……。実際に走らせてみると「良く出来たFF」という印象と同時にFFでも十分にスポーティに軽快に走れます。
それに、よりパワフルなエンジンを積み、走りを優先するM135iはXドライブという4WDを採用しました。306馬力の大出力を路面に効率よく伝えるには1輪当たりの負担を軽減できる4輪駆動はいい選択です。
こちらはクルマ好きにも納得で満足度も高いと思います。このクラスを求める多くのユーザーにとってこの段階でのFFかFRかという議論は、要らないように感じると同時に、エントリーモデルの118iが334万円という価格も「欧州プレミアムとすれば、まぁまぁかな」という印象でした。