はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナー(FP)が答えるFPの相談シリーズ。今回はプロのFPとして活躍する深野康彦氏がお答えします。

ある外資系保険会社の営業マンの方から、死亡保障付き医療保険の営業を受けています。いくつか疑問があるので、教えていただきたいです。
(1)そもそも医療保険に入るべきなのか
(2)死亡保障か入院保障か
(3)保険に入るにしても、ネット専業の保険会社の方が安いのではないか
(4)20代で医療保険に入ることは普通なのか
保険会社の営業マンは「絶対入るべき」と言いますが、いかがでしょうか?
(20代後半 独身 男性)


深野: 死亡保障付き医療保険の営業を受けられて困っているようですね。まずは生命保険が必要か否かというところからお話を始めます。

生命保険の死亡保障とは?

生命保険は、死亡保障、医療保障などに大別されますが、そもそも死亡保障は自分自身が使うものではありません。自分に万一が起こったときに、残された家族が経済的に困らないようにするためのものです。

質問者の方は20代であることから独身としてお話を進めますと、もし万一が起こったとしても経済的に困る人はいないと考えられますので死亡保障は当面必要ないでしょう。

問題は医療保障、つまり自分自身が使うために加入する医療保険です。

医療保険は必要か?

医療保険は、日常的な病気や怪我に備えるものではなく、入院が必要な大病や大怪我を患ったときに必要となるものです。ただし、大病や大怪我を患ったとしても、健康保険が適用される範囲の治療であれば高額療養費制度を使うことができます。

また、勤労者であれば、一定の条件を満たせば傷病手当金を受け取ることができますので、自己負担分が数十万円などと高額になることはほとんどありません。

治療費等が高額になるケースは、健康保険が利かない自由診療や差額ベット代が必要となる場合などに限られるのです。

このため、自己負担分は余程のことがない限りは預貯金等の金融資産で賄うことができるはずです。それなりの預貯金があれば、医療保険に加入する必要はないでしょう。

では、医療保険はまったく不要かと問われれば、質問者のように若い方の場合、預貯金などを保有していないケースが考えられます。大病や大怪我は、預貯金が貯まるまで待ってはくれないため、預貯金が確保できるまで医療保険で備えるというわけです。

医療保険のよいところは速効性があることです。条件を満たした保険事故が起きれば、医療保険に加入1週間後でも保険金が出ます。

この速効性を必要としているならば、医療保険に加入する必要があるでしょうが、外資系保険会社の営業マンから勧められている「死亡保障付き医療保険」に加入する必要はありません。単独の医療保険で、ネット専業の保険会社や都民(県民)共済などの低コストな医療保険で十分でしょう。

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