はじめに

空を自由に飛んだり、遠く離れた場所に一瞬で移動したり、ゲームや映画の世界に参加できるVR(ヴァーチャルリアリティ)。頭にゴーグルのような専用のデバイスをつけることで体験できると、今、注目されています。

“VR元年”と呼ばれた2016年には、PlayStation VRやOculus Rift、HTC Viveといった家庭でも本格的なVRを楽しめるハイエンドデバイスが続々と登場。しかし、まだまだ高価なものが多く「気になっているけれど、手が出せない」という声も聞こえてきます。

最近、この夢のような世界を手軽に体験できる施設が全国各地に増えています。


全国各地に広がるVR体験施設

人間大砲型マシンに発射され東京を上空から探索、銃を片手に迫りくるゾンビを退治……。VRの世界では、こんな現実離れした体験が可能です。

昨年から、日本各地にはVR体験ができる施設が続々と登場。

東京都内だけでも、渋谷センター街の「VR PARK TOKYO」や宮益坂上の「VR SPACE SHIBUYA」、池袋サンシャインシティ60階の「SKY CIRCUS」、お台場・東京ジョイポリスの「ZERO LATENCY VR」など多様なコンテンツを備えた常設施設が増えています。

また全国的にも、ハウステンボスやユニバーサル・スタジオ・ジャパンのアトラクションとしてVRが導入されたり、埼玉の大型ショッピングセンター・越谷レイクタウンにVR専門のアミューズメント施設「VR Center」が開設されたりと、一般の人が気軽に楽しめる場所がどんどん広がっています。

3月に月間最高売上を記録

2020年までには、8兆円規模にもなると言われているVR市場。連日賑わいをみせる各施設の様子からも、そのポテンシャルがうかがえます。

例えば、アドアーズ株式会社は運営するVR体験施設「VR PARK TOKYO」の3月売上が月間最高を記録したと発表。

同社によると、3月の既存店売上高は前年比88.2%と低下したものの、2016年12月にオープンした「VR PARK TOKYO」は好調。日本初登場の落下型VRアトラクション「ジャングルバンジーVR」の導入ほか、春休み時期が重なったことが奏功したと分析します。

では、実際にどのような方々が来場しているのでしょうか?

「20代〜30代を中心としたカップルのお客様に多くご利用いただいています。オープン当初は男性のお客様が多かったのですが、『王様のブランチ』や『ZIP!』など情報バラエティ番組やSNSなどで取り上げていただき、女性グループやカップルで訪れる方が増えました。

現在では男女半々くらいの比率でご来場いただいています。今では女性のお客様だけの時間帯もあるくらいです」と、同社の広報担当・佐藤さんは客層の広がりについて教えてくれました。

確かにVRゴーグルを被って体験する姿やコンテンツの映像はビジュアル的にインパクト大。インスタグラムやツイッターなどSNSでの拡散効果によって口コミが広がり、女性顧客の取り込みに成功していることも好調の一因のようです。

4月には既存アトラクションを体感ホラーVR「オバケリアVR Creeping Terror 3D」としてバージョンアップ。

「今後はリピーターを増やすための仕組みも作っていきたい」(佐藤さん)と、これからの展開にも期待できそうです。

フランチャイズ展開でもっと身近に

また、渋谷初のVR体験ショールーム「VR SPACE」を運営する、VR SPACE株式会社は2017年5月8日、VR体験ショールーム事業のフランチャイズ展開を始めると発表しました。

1例目として手を組んだのは、熱海後楽園ホテル。ホテルの宿泊客に対して、「非日常体験を提供することでリフレッシュにつながれば」とVR体験サービスを提供します(※2017年7月22日から8月24日までの期間限定)。

「これまで専門の施設でなければ体験できなかったVR体験を、より多くのユーザーに提供できるよう、体験機会増加につながる取り組みを進めてまいります」と同社は今後の展望を語ります。

こういった動きが進めば、専門施設以外でも体験が可能になるため、今年は私たちにとってVRがより身近な存在となりそう。

一度体験するとその感覚にハマってしまった、とリピーターになる人も多数登場しているVR。各施設によって体験料金は異なりますが、「VR PARK TOKYO」では2,900円(事前予約・80分入替制)で、すべてのアトラクションを楽しむことができます。

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