はじめに

アナログにこそ勝機あり

一方、引く手あまたの体育会系の学生であっても、OBやOGがいる企業以外の会社のことも知りたいというニーズがあるわけです。実は、その学生側のニーズを満たす秘訣にこそ、この会社最大の強みがあります。それが2つ目の強み、「アナログ」です。

この会社は登録してくれた体育会系の学生1人1人に担当のカウンセラーがつき、徹底的にその学生とコミュニケーションをとります。何度も直接会い、話を聞き、その学生の強み・弱み、家庭環境、将来展望などを把握します。その手法は極めてアナログです。

しかも、体育会系の学生を相手にするので、カウンセラーとなる社員も皆、体育会系もしくはスポーツ経験のある人。全社員の9割以上が体育会系出身、もしくはスポーツ経験者だといいます。役員陣も、創業社長である篠崎克志氏は卓球とボクシング、副社長の伊地知和義氏はラグビーといった具合に、社内取締役5人全員がスポーツ経験者です。

このため、スポーツに本気で取り組んできた人が、何を大切にしているかをよく理解しています。スポーツ経験がないカウンセラーに、自分が本気で取り組んできたことに敬意を払ってもらえなかったり、逆にすっとんきょうな評価をされると、紹介してくる会社も的はずれになります。

学生・企業の双方にメリット

デジタル全盛の時代、面接にたどり着くまで顔ひとつ見てもらえずに「今後のご多幸をお祈り」されてしまう学生は、売り手市場と言われる今も少なくありません。

体育会系の学生の心をつかめる会社だからこそ、体育会系の学生の登録者数も増えるし、どういう人物かも把握している会社が紹介してくるので、企業側もニーズに合わない学生を採用しないで済みます。

効率を優先し、デジタルに頼っていては、取り逃がしている有望な人材がいても見落としてしまう可能性があります。企業側もそのことに気付いているのではないでしょうか。

時代に逆行するようでいて、実は今、最も必要とされているアナログを重視している――。株式市場におけるスポーツフィールドの人気の理由は、まさにこの点にあるのではないでしょうか。

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