はじめに

1月12日に開幕し、先週末に第2節が開催された、2020年シーズンのジャパンラグビートップリーグ。一般向け前売り券の完売が続出しているとの報道もある中、各地の試合会場は例年にない盛り上がりを見せています。

その大きな要因となったのは、言うまでもなく、昨年開催されたラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会です。日本人はもちろん、観戦のために日本を訪れた外国人の心もとらえたのでしょう。2019年のインバウンド消費を大いに底上げすることにつながりました。

そんな日本大会と同様の経済効果を上げようと目論むのが、次回大会の開催国であるフランスです。実際にどのような動きが始まっているのか、開催都市の副市長に現地の準備状況を聞きました。


旅行消費額の7年連続更新を牽引

観光庁が1月17日に発表した「訪日外国人消費動向調査」によると、2019年に日本を訪れた外国人の旅行消費額は4兆8,113億円。訪日外国人客数が約3,188万人と過去最高を更新したのを追い風に、旅行消費額も前年比6.5%の増加となり、7年連続で過去最高を記録しました。

1人当たりの旅行支出も15万8,000円と、前年を3.5%上回りました。国・地域別にみると、最も多いのがオーストラリアで24万9,000円。以下、イギリス、フランスの順となっています。

費目別の支出のうち、3ヵ国からの旅行客に共通するのは宿泊費の高さ。旅行者数では中国、韓国、台湾、香港からの訪日客が上位を占めますが、宿泊費では東アジアの国・地域のそれを大幅に上回ります。

オーストラリア、イギリス、フランスといえば、いずれもラグビーの強豪国ばかり。昨年9月から11月にかけて開催されたラグビーのワールドカップ(W杯)で自国チームの応援のために日本を訪れた人が増え、支出を押し上げたのは明らかです。

推定経済効果は最大600億円?

実際、試合が行われたスタジアム周辺で話を聞いても、欧州やオセアニア諸国からの観戦客からは1~2週間で各地に宿泊し、複数の試合を楽しむという声が多く聞かれました。横浜国際総合競技場でインタビューに応じてくれたアイルランドの男性は、「2週間滞在して7試合を観戦の予定」と話していました。

ラグビーだけでなく全国の観光地にも足を運び、日本での休暇を満喫して帰国の途に就いた外国人客も少なくなかったことでしょう。

こうしたラグビーW杯効果を享受しようと力を入れているのが、2023年の次回大会開催国のフランスです。同国は世界一のインバウンド大国。2018年にフランスを訪れた外国人客は約8,940万人を数えます。

フランスでW杯が開かれるのは、2007年に次いで2度目です。競技者人口はサッカーを下回りますが、南仏を中心に人気が高いスポーツの1つ。同国のメディアによれば、2007年大会でのチケットの販売枚数は約225万枚を記録し、日本大会の同184万枚を上回りました。

2007年大会の経済効果をめぐっては3億4,000万~5億9,000万ユーロ(480億~600億円)と推定結果のレンジは大きいですが、政府は海外からの来仏客1億人乗せを視野に入れており、2023年大会開催をさらなるインバウンド増につなげたい考えです。

<写真:松尾/アフロスポーツ>

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