生活

罪を犯した受刑者たちの姿を映した初めての映画「プリズン・サークル」

人は犯した罪に向き合うことができるのか

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1月25日から公開のドキュメンタリー映画「プリズン・サークル」は、これまでもアメリカの受刑者を捉えた映画を手がけてきた坂上香監督による、日本の刑務所の内部を撮影した作品です。

カメラに映し出される受刑者たちと、彼らが参加する「TC」というプログラムの様子は、人間は罪に対してどう向き合えるのかという命題を観客に問いかけてきます。


初めて日本の刑務所にカメラが入った

「むかしむかしあるところに、嘘しか言わない、とても嘘つきな少年がいました──」

その映画は、そのようなナレーションとともに、砂で描かれた寂しそうな少年の絵から始まります。初めて日本の刑務所にカメラを入れたドキュメンタリーである「プリズン・サークル」。そこに映し出されているのは、私たちがこれまで決して見ることができなかった、犯罪を犯した若者たちの本音の世界です。

監督の坂上香は、これまでも『ライファーズ・終身刑を超えて』(04)、『トークバック 沈黙を破る女たち』(13)など、アメリカの受刑者たちの姿を捉えたドキュメンタリーを発表、高い評価を得てきました。

高校卒業と同時に渡米し、死刑廃止運動や犯罪者の更生などを映像化してきた彼女の原点には、中学時代、集団リンチの被害者になりながら、立場の弱い弟に対しては自らが加害者になってしまった経験もあるという、暴力の連鎖に対する問題意識があるそうです。

今回の『プリズン・サークル』は、そんな彼女が初めて日本の刑務所を被写体にした作品というだけではありません。テレビや映画などあらゆる映像メディアを通して、日本の刑務所の内部がここまでまざまざと映し出されたことは、かつてなかったと言ってもいいでしょう。

イギリス生まれの治療プログラム「TC」とは

映画の舞台は、島根県にある官民共同体の新しい刑務所である、「島根あさひ社会復帰促進センター」。

警備や職業訓練は民間の企業が担い、ドアの施錠や食事の搬送は自動化されていて、ICタグとCCTVカメラが受刑者を管理するという、2008年に開所されたまさに21世紀型の新しい刑務所です。カメラに映し出されるその内部は、綺麗であると同時に、どこか無機質さも感じられます。

そして中心となるのは、この刑務所で行なわれる、「TC(セラピューティック・コミュニティ)」という、イギリス生まれの治療プログラムです。

「治療共同体」と訳されることもあるこのプログラムのなかでも、「Amity(アミティ)」と呼ばれるやり方では、受刑者同士の徹底した語り合いや人間関係の構築によって、問題行動に頼らなくても生きる方法を学ぶことになっています。

この映画は、主にこの「TC」のプログラムでのやり取りを映し出すことで、主人公となる4人の若者の内面に迫っていきます。

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