はじめに
ミラノの中華街の人通りに変化は?
過熱する報道とはうって変わり、市内の様子は比較的落ち着いている印象です。例えばミラノ市内の中華街として知られるパオロ・サルピ通りでも人通りはいつもと変わらず、中華食材店やレストランなどにも客の姿が見られました。
歩いている限りは普段と変わらないミラノの中華街
ただ、ローマやミラノで例年行われている春節イベントは早い段階で延期が発表されるなど、新型ウイルスを警戒する意識は非常に高いものを感じます。中華街には日本食材を取り扱う店も多く、普段であれば現地在住の日本人の姿もちらほら見かけます。ただ、現在は状況が収まるまで、中華街に行かないようにしているという人も少なくありません。
中国国内の様子を報じるイタリアの新聞
「目に見えない恐怖」の影響
また、すでに日本国内でも一部で報道されていますが、新型コロナウイルスの拡大に合わせてアジア人への差別感情が強くなっているとの声も上がっています。日本からの留学生も多いローマのサンタ・チェチーリア国立音楽院は、医師の診察を受けるまで東洋人へのレッスンを中止して病欠扱いにすること発表し、大きな波紋を呼びました。
ヴェネチアを旅行中の中国人観光客がつばを吐きかけられたり、トリノに住む家族がウイルスの感染者として責められるといった事件も起こっています。
もちろん、こうした事件は一部の特殊なケースであり、現地で普段暮らしている中では差別的な言動を受けることはまずありません。ただ、イタリアを含めヨーロッパへの旅行を計画している方は、こうした例もあること、またそれはあくまで新型コロナウイルスという目に見えない恐怖から来ていることを、頭の片隅においておくといいかもしれません。
飛行機の離発着が制限されたり大きなイベントの中止が決定されたりと、すでに私たちの生活に大きな影響を与えている新型コロナウイルス。ただ、そのワクチンの開発や感染力、危険度などに関する研究はまだ始まったばかりであり、収束までにはまだ少し時間がかかるでしょう。見えない恐怖に対する不安はあるのは確かですが、不正確な情報に踊らされることなく、冷静に対処することが求められています。