はじめに
人気スイーツは豆腐と同じラインで生産
国内の工場で製造するPB商品にも、工夫を凝らしています。
2013年に発売した「リッチチーズケーキ」(348円)は、ボリューム感と濃厚な味わいが特徴です。リッチチーズケーキをよく見ると、何かに似ているような気がします。
自宅で、のんびりとカフェ気分が味わえる?
同社の広報担当者は「実は豆腐を製造するラインで作っています」と明かします。同じ容器を使って、豆腐とリッチチーズケーキを交互に生産することで、設備の稼働率を上げて、生産にかかるコストを抑えます。
ちなみに、1キログラムの水ようかん(248円)は牛乳を製造していたラインで作っていて、牛乳パックと同じ容器に入っています。店舗に行った日は、冷凍チーズケーキは買えましたが、水ようかんとベルギーワッフルは完売していました。
同社は国内に21工場を展開します。「多くは稼働中の食品工場をM&Aで取得しています。製造商品の数を絞り込み、効率化することで、商品の低価格につなげています」(広報担当者)。
都心ではコンパクトな店舗を模索
共働き世帯の増加や家族構成が変わる中、中食事業も始めています。業務スーパーの店内の一角で展開する「馳走菜(ちそうな)」は、兵庫県や横浜市、さいたま市などで総菜を販売しており、今後は全国に拡大する予定です。
2019年10月期の神戸物産の売上高は、前期比12.1%増の2,996億円で、2020年10月期は同4.1%増の3,118億円を計画します。店舗数は、2020年10月までに875店舗まで増やすことを計画しています。
「冷凍さぬきうどん」を製造する、滋賀県の工場(神戸物産提供)
今後は首都圏でも店舗を増やす計画。業務スーパーの売り場面積は約330平方メートルが基本ですが、都心部はまとまった面積の土地の取得が難しいため、担当者は「人気商品に絞り込むなどした『コンパクト型』の店舗も検討しています」と説明します。
B to BからB to C向けにターゲットを広げ、独自開発した利益率の高いPB商品を低コストで売る構図は、作業服チェーンのワークマンと共通しています。同社とも1,000店舗超えが当面の目標。独自路線を走る地方発の企業の快進撃は、とどまる気配をみせていません。