はじめに

デート代も割り勘が当たり前の時代、それでも男性は好きな女性を喜ばせようと腐心しているものです。ただ、何か買ってあげれば女性の歓心が買えるわけではありません。むしろそれを束縛と受け取ったり、中には恐怖さえ覚える女性もいます。


ほしい物は自分で買う

男性に何か買ってもらうと、そこから「不自由になる」と感じているのは、ミチヨさん(33歳)です。2年ほどつきあっていた彼とは別れたばかり。その原因が「何か買ってあげようか」でした。

「彼は2歳年上。だけどすごく大人ぶるというか、逆に言うと私を子ども扱いするというか。私、三人姉妹の次女で、上からは抑えつけられ下からはつきあげられて、非常に強靱な精神を育まれたんですよ(笑)。だから最初は彼に子ども扱いされると、なんだか居心地がよかったんです。甘えていいんだという気持ちにもなった。だけどだんだん、それが押しつけがましいというか、うっとうしくなっていったんですよね」

一緒に出かけて、彼女が好きなアジア系の雑貨店などに寄ると、彼はすぐ「何か買ってあげようか」と言います。最初は甘えて買ってもらったこともありますが、お礼を言ったり、次に会ったときにどうやって使っていると説明したりするのがめんどうになっていきました。

「たかが千円くらいのものなのに、彼は『気に入った?』と何度も聞くし、どうやって使っているのか写真を送ってと言い出すし。そんなめんどうなことをするなら自分で買うわと思って。その後は、彼が何か買ってあげようかと言うと、自分で買うからいいと言うようになりました。そもそも彼とそういう店には一緒に寄らなくなりましたね。ひとりで行ったほうがずっと自由に買い物できるから」

だいたいが、「買ってあげようか」という表現が耳障りだったと彼女は言います。確かに、「~してあげる」という言い方は恩着せがましいもの。

「結局、別れたのもそういうことの積み重ねです。なんとなく恩着せがましい彼と結婚なんかしたら、一生、『オレが食わせてあげてるよね』なんて言われそうじゃないですか」

実家でも連発されていた言葉

彼の実家に行って家族関係を見てきたのも別れるきっかけのひとつでした。彼の両親も妹も、それぞれが「~してあげようか」を連発していたそうです。

「妹さんが、『おにいちゃん、コーヒーいれてあげようか』と言い、おかあさんが彼に『ケーキがあるのよ。出してあげようか』と言い……。“あげようか”まみれになって、息苦しさを覚えました」

語感の問題は個人差が大きいものですが、ずっと“あげようか”と言われていたら、息が浅くなってしまう人は確かにいそう。

「彼が食事をごちそうしてくれるときも、よく『僕が出してあげるよ』と言ってましたね。はっきり指摘してもよかったんだけど、結局、そういう言葉を普通に使っている人とは感性が合わないと思ったんです」

別れ話をしたとき、彼はきょとんとしていたそうです。

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