はじめに

荷物を積めば真価を発揮する

日本ではカングー人気は不動のものとなっていますが、本国やヨーロッパではベルランゴの方が1年以上も先に登場した先輩です。ところが先代まで日本には必須とも言われている右ハンドルにAT車というモデルを用意していませんでした。少なくともAT車は欲しいところなのですが、ベルランゴはこの点で日本導入を諦めなければいけなかったわけです。

4

MPVは総じて背が高く5人から8人乗車でき、荷物もたっぷり詰めるクルマといえます

ところが今回ようやく右ハンドルにATという仕様を送り出すことができ、めでたく日本にも上陸したわけです。

さっそく乗り込んで走り出してみると、日本の道路事情に合っているのと同時に視界の良さが際立ち、とても運転が楽です。おまけに1.5Lディーゼルエンジンのトルクが強いため、カングーより少しだけ大きく重量のあるボディを力不足を感じることなく走らせることができます。一方でカングーのガソリンエンジンは、回転の上昇もスムーズで、ベルランゴより160kgほど軽いボディを軽快に走らせるのです。こちらも悪くないのです。どちらがよりMPVにふさわしいのか? まだディーゼルのベルランゴのロングドライブなどを試していませんから、燃費データがありません。もし燃費が良いというなら、こちらを選択するかもしれません。

3

ディーゼルの走りも好ましいのですが、さらに注目したのは、乗り心地の良さでした。プジョーとシトロエンのEMP2という骨格(プラットフォーム)は、評判どおりにベルランゴの操縦性の向上に役立っていて、走りはドタバタとすることなく、とても安定感のある走りを実現しています。一方、カングーは中身が少し古く、良く言えば熟成が進んでいるのですが、かっちりとした印象ではありません。慣れ親しんだというか、これまで同様の、フランス車っぽいしなやかな乗り心地の味付けもこれまた悪くないのです。フランス車っぽい走りならカングーかもしれません。

さて両車の走りに関して共通した注意点もあります。どちらも空荷で走ると、低速などで細かい突き上げを感じたり、コトコトといった細かな振動を感じる場面があります。荷物を載せ、人もある程度乗せることを考えると、少しだけサスペンションのセッティングを硬めにするので仕方がありませんが、不快でもありませんから、それほど神経質にならなくてもいいでしょう。ただし、荷物を積み込んで重量が増してくるとベルランゴのトルクの強いディーゼルエンジンの利点が生きてくることは確かだと思います。