はじめに

「リスクオフ大合唱」に惑わされるな

こうした中で米国景気の先行きを左右しかねないのが、民主党の大統領候補選びです。

2月3日に行われたアイオワ州の民主党党員集会では、ピート・ブティジェッジ候補と自称「民主社会主義者」のバーニー・サンダース候補がほぼ同率勝利となり、本命のジョー・バイデン候補は4番手に終わりました(暫定結果)。ただ、2月11日に行われるニューハンプシャー州での民主党予備選では、サンダース候補が圧勝することが予想されています。

国民皆保険や公立大学の無償化などを公約とするサンダース候補がリードすることを、米国経済にとってマイナス=リスクオフと見る向きが増える可能性があります。特に、新型コロナウイルス関連で相場のムードが悪化している時期ですから、相場への影響は大きくなる可能性さえあります

しかし、2月第3週のネバダ州党員集会、第4週のサウスカロライナ州予備選では、世論調査でバイデン候補が大きくリードしています。また、保守層が多い州では民主社会主義者は敬遠される可能性があります。

この民主党党員集会・予備選は金融市場の攪乱要因になる可能性がありますが、筆者はそれも一時的な「リスクオフ相場」になるとみています。したがって、「リスクオフ大合唱」に惑わされることなく、政治要因でのリスクオフは投資の好機ととらえています。

<文:チーフ為替ストラテジスト 今泉光雄>

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