はじめに

本番でしゃべる前には「あくび」がおすすめ

顔の筋肉が緊張したまま話そうとしても、口元がなめらかに動かず、なかなかうまく話せません。それは口の形をほとんど変えることができず、発音が悪くなるからです。そうならないためにも、本番前に「ラ行の発音練習」をして口元の緊張をほぐしましょう。

また、目元の強ばった表情筋を動かすためには、聞き手と目を合わせながら、笑顔をつくることです。本番中は、にこやかな表情を保ち、口元を動かすことも意識して話してください。そうすれば、緊張で強ばった顔の筋肉がほぐれて話しやすくなります。

緊張すると、「声がかすれてしまう」という人がいますが、それは緊張でのどが締まるためです。そんなときは、締まった部分をゆるめてあげましょう。そのために発音練習の前は首を回したり、肩を回したりしてください。そうすると、首と肩の無駄な力が抜けて、のどもゆるみ、よい声を出しやすくなります。

のどをゆるませる一番の方法は「あくび」です。あくびをするときのように、口を大きく開けて、息を思い切り吸いこんでみましょう。すると、のどに冷たい息が当たります。その冷たい息が当たったのどの位置が締まっているために声が出しにくいのです。

あくびをすれば、のどの入り口が一気に開きます。そして、のどに冷たい息が当たった瞬間、締まっていた部分はゆるみ、声を出しやすくなるのです。

電話応対の前に発音力を上げる

ラ行の発音練習は、スピーチや面接、発表会などの幅広い場面で活用できます。とくに、発音力を上げる必要がある「電話応対が多い人」にもおすすめです。

電話で聞きとりやすいかどうかは、「発音力」が決め手となります。うまく発音できず、聞きとってもらえなければ、言いたいことが相手に伝わりません。だからこそ、朝一番にウォーミングアップを行ない、電話応対での発音力を上げましょう。

それ以外の人でも、だれかと会う前にウォーミングアップしておけば、朝のあいさつをしたときなどに、声がはっきり出て好印象を持ってもらえるはずです。

人前で話す機会が多い人は、1日1分間の発音練習の習慣を身につけると、なにもしないときよりも、ずっとなめらかに発声できるようになります。噛まないようになれば、聞き手の耳に言いたいことをはっきりと届けられるのです。

どんなに緊張してもうまく話せる! 渡辺由佳 著

どんなに緊張してもうまく話せる!
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(この記事は日本実業出版社からの転載です)

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