はじめに
「コンテンツ大国・日本」も危うい?
――前回、2020年はコウペンちゃん海外進出というお話がありましたが、キャラクタービジネスもやはり、海外なんですね。
SNSで世界が狭くなり、仕掛けやすくなったというのがひとつ。あとは、日本のマーケットがシュリンクしているという状況もあります。アメリカや中国は市場規模がまるで違いますよ。
キャラクタービジネスをいろいろやってきましたが、1億2,000万人いるとはいえ、日本は小さいんだなって思います。日本だけでやっていてもそこそこはいけるとは思いますが、どんどん厳しくなるのは明らかです。
――でも、たとえば中国だと、知的財産の問題は大変なのでは?
確かに、中国は知的財産については、日本やアメリカから30年くらい遅れていました。いまも現地で流通しているキャラクターグッズの9割5分は偽物でしょう。でも、最近、急速にコンテンツビジネスについての考え方は変わってきています。
コウペンちゃんについて、昨年、アリババと契約を結びましたが、アリババには偽物をチェックするシステムが整っていて、ものすごく厳しいチェックをしています。そもそも、アリババが僕らと同じエージェント業務も手掛けているほどなので。
――意外です。
コンテンツというと、アメリカと日本が先進国。特にキャラクターの世界では日本が世界一だという印象を持っている方は多いと思います。でも、それももう幻想にすぎないのではないかと感じています。
中国の方と仕事をすると、ビジネスのスピード感、成長の速度の速さを感じるんですね。
昨年、中国の国産アニメ映画『Ne Zha』が大ヒットしました。僕も見ましたが、作画などの技術力は上がっているし、ちゃんとしたストーリーが作れるようになっていました。作る技術、人が育っている。コンテンツの厚みがちょっと足りないかなとは思いましたが、それもすぐに習得していくはず。お金の掛け方にしても全然違いますから。
――コンテンツでも日本が抜かれますか?
そうですね。しかも、徐々にというのではなく、リニアモーターカーが後ろから通り過ぎていく勢いだと思います。「秒」で抜かれるだろうという感覚を持っています。日本でコンテンツビジネスをやっていて、海外に進出しようと考えている方がいるかもしれませんが、のんびりしているとチャンスを逃すことになると思います。その国のコンテンツが充実してくれば、日本から輸入する必要はなくなります。向こうの成熟するスピードは思っている以上に早いですよ。