趣味

SNS発の人気キャラ「コウペンちゃん」 仕掛け人が中国進出を急いだ理由

多様化、グローバル化するキャラクタービジネス

作者に次ぐ、キャラクターの理解者

――コウペンちゃんだけでなく、スパイラルキュートはたくさんのキャラクターをヒットさせてます。その秘訣を教えてください。

かわいいから、おもしろいから、一か八か仕掛けてみようと思ってプロデュースすることはありません。決して、僕が仕掛けるから売れているのではなく、売れるものをチョイスしているからそう見えるだけ。抜群に素材がいいものを手掛けているだけなんです。

ただ、上から目線になりますが、素材を見極めるセンスはあるのだと思います(笑)。

カスタードクリームパンにもなったコウペンちゃん

――いい素材はどうやって見分けるんですか?

感覚的なことなので言語化しにくいのですが、ひとつはファッションと同じでトレンドの流れを見ること。「なめこ栽培キット」のときは、「こびとずかん」も注目をされていてキワモノがウケていたタイミングでしたし、コウペンちゃんは水彩画タッチのキャラクターで癒しに流れがきているだろう、と。もっとも、まったく理論分析できないことですけどね。

あとは、つねに知識の最適化させておくことでしょうか。

――知識の最適化とは?

クリエティブディレクターの水野学さんが『センスは知識からはじまる』という本で書かれているんですが、「知識の最適化がセンス」なんです。

たとえば、うちの会社にオタクの子がいて、僕がある作品について「これって売れる?」って聞くと、「はい、売れます!」と断言したんですよ。普通、なかなかきっぱりと言えないですよ。でも、彼女がなぜ断言できたのかというと、そのキャラクターが大好きで、そのマーケットの事情をよく知っているから。自分が好き。自分も周りも好きだろう。この層にハマるはず、あそこの店できっと売れる……。もっている知識から総合的に考えて「売れます!」と言えるんです。
 
――知識があるからこそ、さまざまな角度からすぐに考えられる。

だから、「売れるキャラクターはないかな?」って、探すことはないんです。ただ、心がけているのは、食でもアートでもファッションでも音楽でもいいものをたくさん知る、体験するということ。「いいもの」というのはハイスペックという意味ではなくて、吉野家の美味しさも知っているし、銀座の高級鉄板焼店のよさも知っているということ。幅の広さも重要です。

グッズを出すとなると、デザインに色、テキスタイルなど、いろいろ判断しなくてはいけないことがあります。選択することが仕事なので、いろいろなところにアンテナを張っていて、常にいいものをたくさん吸収する。いつか役に立つかわからないし、役に立たないこともあるけれど、自分の引き出しにたくさんの知識を入れておくことは大切だと思っています。

――その中でヒットするキャラクターを見つけられる?

いま、コウペンちゃんのほかにも、「可愛い嘘のカワウソ」「助六の日常」というキャラクターなども手掛けているのですが、どれも、リサーチしたというより「出会った」という感じなんです。出会って惚れ込んだキャラクターだから、全力で愛情をかけることができる。

助六の日常LINEスタンプが人気のハムスター・助六 ©GOTTE

キャラクターのプロデューサーは、作者に次ぐキャラクターの理解者であるべきです。コウペンちゃんの作家、るるてあさんはファンの気持ちに答え、毎日ツイートを続けている。原画展の開催時に驚いたのですが、発表された作品だけでなく、2年間でものすごい量のコウペンちゃんを描いていた。そんな彼女が余計なことに煩わされることなく、制作に集中できる環境を作ってあげる。それが僕たちの存在意義なのだと思っています。

川上洋一(かわかみ・よういち)
スパイラルキュート代表。百貨店、玩具メーカーでの営業・開発を経て、独立。キャラクターライセンスのプロデュースから、キャラクターの企画・開発を手がける同社を立ち上げ、さまざまなキャラクターのプロデュースを手がける。毎年、国内最高のキャラクターおよびブランドを選ぶ「Licensing of the Year」の常連で、2013年「なめこ栽培キット」、2015年「コップのフチ子」、2019年には「コウペンちゃん」がライセンス・エージェンシー賞を受賞

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