昨年末から中国で流行し始めた新型コロナウイルスは、政府当局による厳格な対策にもかかわらず、感染者数が増加し続けています。

2月20日時点で、中国国内の新型コロナウイルスの感染者数は累計で約7.6万人、感染疑いの人も含めると約8万人を突破しました。足元では頭打ちの兆候が少し出ているものの、1~3月のGDP(国内総生産)成長率や企業業績への悪影響は避けられないでしょう。

感染対策の期間中は中国全土で人の移動が制限されているため、飲食店や小売店、映画、旅行などサービス業への影響が特に大きく、企業の倒産や営業停止、従業員の解雇や無給待機といった話が多く聞かれています。

その一方で、実店舗の営業停止によって抑制された消費者の需要はオンラインに流れており、感染拡大の陰でインターネットを活用したさまざまなサービスが国民生活に浸透し始めています。


遠隔授業でテンセントのソフトが活躍

「新型コロナウイルスの影響で、うちの子が通う学校の授業再開は大幅に遅れそうだよ」――。上海に駐在する元上司の話を聞いて、筆者は改めて事態の深刻さを認識しました。

本来なら上海の学校の冬休み明けは2月17日なのですが、登校できないとなると学生の勉学にさぞ影響が出るのでしょう。思わず「その間学校の授業はどうなるのですか」と聞き返したところ、元上司は「テンセント・ミーティングというソフトを使って、遠隔授業を受ける予定だ」と教えてくれました。

テンセント・ミーティングは中国の大手IT企業であるテンセント(銘柄コード:香港700)が開発したオンライン会議用のソフト。主に企業向けに提供されていますが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、学校でも導入が進んでいます。

パソコンやスマートフォンでこのソフトを利用すれば、リアルタイムで遠隔授業が可能になるほか、先生はカメラを通じて生徒の挙動に目を光らせ、よそ見をしている不真面目な生徒を注意できるというのです。中国各地で遠隔授業を導入する学校が増えており、今後この方式が定着すれば、教育の効率化や構造的な変化を促進することになりそうです。

在宅勤務の増加で恩恵を受けるのは?

遠隔授業以外に、在宅勤務の分野でもネット企業のビジネスチャンスが拡大しています。

新型コロナウイルスの影響により、多くの企業は従業員に在宅勤務を命じ、ネット経由で仕事を行うスタイルに変わっています。また、中国の大手IT企業はクラウド上で企業の従業員の安否確認や健康状況報告ができるシステムを構築しており、政府当局による感染情報の収集に役立てています。

在宅勤務で恩恵を受ける企業としては、クラウドサービスを運営するアリババ(香港9988)とテンセント、オフィスソフトを開発するキングソフト(香港3888)、サーバーの製造を手掛けるインスプール(深圳000977)などが挙げられます。

米国に比べると中国のクラウドサービスの市場規模がまだ小さいですが、新型コロナウイルスをきっかけに、今後クラウド関連企業が急成長を遂げる可能性があります。

<写真:ロイター/アフロ>