はじめに
カープが対面販売にこだわる理由
もっとも、カープ球団が窓口販売にこだわらず、他球団と同様、プレイガイドにチケットサイトの運営を委託してしまえば、こんな苦労はしないで済むことも事実です。
球団が自前でチケットサイトを構築し、プレイガイドなどへのチケット販売の委託すらしていない球団もあれば、一見すると球団直営のチケットサイトのようだけれど、実は構築から運営まで、すべてプレイガイドに丸投げという球団もあります。
カープは長年、窓口で対面販売することで、購入者との会話で得られるものは大きいと考えてきたようです。筆者は2014年夏にマツダスタジアムで観戦しているのですが、その頃はゲーム開催の1ヵ月前に普通に指定席のチケットが買えました。
チケットの申し込みはメールでしましたが、実際に席が確保できたかどうかや、受け取り方法などはチケット担当の球団職員と電話でやり取りした記憶があります。購入者との会話で得られるものが大きいと考える、球団の考え方も理解はできます。
しかし、ここまで来ると、対話も何もありません。チケット販売に苦労した時期が長かった分、人気が水物であることへの警戒心は根強いものがあるようですが、ファンの忍耐も限界に来ているのではないでしょうか。
禁止法施行後も横行し続ける不正転売
今年は大きなトラブルもなく抽選券の配布が終わったことは間違いないのですが、「何年もかけて対策を小出しにする理由がわからない」という声も聞かれます。
昨年6月にチケット不正転売禁止法が施行され、チケットの不正転売に刑事罰が科されることになったものの、規制対象になる要件は非常に狭く、興行主側にかなりの努力を求める内容になっています。
カープも購入申し込み書類に氏名や連絡先を書かせるようにしましたが、それらが券面に記載されていないと規制対象になりません。実際に刑事罰を科そうとするなら、転売チケットでの入場者をシャットアウトするくらいのことをしないと、実効性は上がりません。
しかし、毎試合3万人前後の観客がやってくるプロ野球の試合で、それを実行することは不可能です。そのせいか、チケット転売サイトには、今年も年間指定席のチケットが大量に出品されています。
3月1日を過ぎれば、さらに一般販売で購入されたチケットが出回ることになるでしょう。もしも対面販売ならではの不正転売撲滅策を講じることができるのであれば、ファンの理解も得られるかもしれません。