はじめに
検証結果はどうなった?
下表は、見やすいように年率ベースに直しています。つまり、年間を通じて「開示している企業」と「そうでない企業」が平均的にどの程度リターンに差があるかを見ることができます。
【東証1部上場企業で社内・社外取締役の取締役会参加状況を開示している企業と非開示企業の株式パフォーマンス格差】
リターン差 | |
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取締役会出席率 | 0.4% |
取締役会出席率が75%以下であった人数 | 1.3% |
(注)取締役会出席率は2006年10月以降、取締役会出席率が75%以下であった人数は2008年10月以降。「公表」か「非公表」で分類し、月次株価収益率の平均を年率換算。「リターン差」は「公表」から「非公表」を引いて算出 (出所)日本経済新聞社(日経cgs)のデータを基にニッセイアセットマネジメント作成
分析結果はリターンの差がプラスとなり、「公表」企業のほうが株価パフォーマンスも上回っていることがわかりました。また、「取締役会出席率が75%以下であった人数」に関してもリターンの差がプラスであり、「公表」企業が上回りました。
会社として取締役会の重要性を認識していることが公表につながり、パフォーマンスに表れているとみられます。
出席率自体に意味はあるのか
皆さんは、会議というとどういうことをイメージしますか。会社員だと、意外に「会社って会議が多いな」と思う方もいるでしょう。
意味があるかわからないけれど、呼ばれた以上は出席しないと「やる気がない」など思われるのも困る、と考えて参加する人もいるでしょう。参加しても、余計なことを言うと自分に仕事が回ってきたり、敵を作ったりするかもしれないし、差し障りがない範囲で意見を言おうという忖度(そんたく)が働いたりするかもしれません。
取締役会だって同じでしょう。とはいえ、まずは参加しないと始まりません。そして、参加率に自信があるからこそ、開示できる企業の株価パフォーマンスが良いのは納得できます。