はじめに
タイ市場内のマスク事情
あらためてマーケットの場内に入ると、さらに複数のマスク屋台が確認できました。使い捨てサージカルマスクから高密度のN95型マスクまで、種類も在庫も豊富です。
タイ生産の日本向け輸出品マスクは16枚入り250バーツ(約875円)、ベトナム製のマスクは一箱50枚入りが800バーツ(約2,800円)。N95型は一枚70バーツ(約245円)、20枚セットで1,300バーツ(約4,550円)という価格帯です。コロナ騒動以前からもPM2.5問題でマスク需要が高かったタイでは、模造品や粗悪品のN95型も数多く出回っていたため、これらの屋台で売られているマスクも正規品かどうかは疑問が残りますが、それほど暴利という価格でもないところは、良くも悪くもタイらしいといった印象です。
屋台に置かれたマスクを買う人
店員にマスクの売れ行きを尋ねてみると、すべての屋台から「まあ、ボチボチですね…」と判で押したような返答がかえってきます。この対応から察するに(価格面でもいえることですが)これらの屋台間で何らかの談合が行われているのは間違いないでしょう。
どこの国でも市場にはパワーがあります。かつては日本でも終戦直後の闇市で、全国的に物資が不足していたにも関わらず、多くの生活必需品が溢れ返っていたという歴史にもあるように、庶民が非常時に頼れるのは政府の防護策や配給よりも、商魂たくましい人びとが行き交う市場なのだと実感させられた次第です。