はじめに

実家のお母さん・お姉さんのような身近な存在としてサポート

企業版ネウボラの特色は、産前産後のサービスを紹介するだけに留まらず、サービスを提供する“場”と“仕組み”があることで利用に繋げやすいことです。

冒頭で述べたように、ひろしまNPOセンターでは、子育て広場を運営しており、また訪問型の子育て支援も行っています。訪問型の子育て支援は、子育て広場の利用に至っていない妊産婦の声を聞き、取り入れたものです。

・自宅から子育て広場に行くための交通の便が悪い
・車がないため出掛けづらい
・まだほかの子どもと遊ぶような月齢ではない子どもを連れて行ってもいいのだろうか

そんな声を受けて、自宅に訪問し、ときには一緒に出掛けることもあるそうです。

訪問型支援には、30〜70代の女性がボランティアであたっています。子育て経験者、保育士や看護師、ソーシャルワーカーやヘルパーの資格を持っている女性などが、実家のお母さんやお姉さんのような身近な感覚で支援してくれます。

実家が遠方であったり、実両親が多忙であったり、実家からの手伝いをのぞめない妊産婦もいるでしょう。筆者のもとへも、実母や実姉妹がいわゆる「毒親」「毒姉妹」といわれるタイプで、子育てに関わってもらえる存在ではないという女性から悲痛な声が寄せられることがしばしばあります。そうした実家を頼れない妊産婦にとっては、特に心強い存在といえるでしょう。

「子育て」と「働く」を楽しめる社会へ

平成24年度の「若者のはたらく意識に関する調査」では、職場に希望することとして「介護や子育てについて福利厚生の整ったところ」という回答が多かったそうです(出典:平成24年度内閣府男女共同参画局地域における男女共同参画連携支援事業で広島市男女共同参画推進センター調査「若者のはたらく意識に関する調査」)。

子育てや介護など、社員の家庭生活への理解と配慮のある職場にすることが、企業にとってもよい人材を集めることに繋がるといえるでしょう。

会社に子育てを理解してほしい——子育て中の働く男女にとって切なる願いではないでしょうか。

自分の勤める会社が企業版ネウボラに興味を持ったり導入したりと、子育てを理解しよう、会社としても社員の子育てを応援しようという姿勢が見られれば、安心して子育てと仕事との両立に励むことができるでしょうし、働く意欲も高まるでしょう。

子育てをめぐるわが国のさまざまな社会課題の解決に向け、企業版ネウボラの今後に期待したいところです。