はじめに

「ブラック育児社会を変えたい!」企業版ネウボラとは

では企業版ネウボラとは、具体的にどのような取り組みなのでしょうか。

主に(1)研修(2)情報提供(3)相談と、3つのメニューが用意されています。企業からの問い合わせを受けて、メニューを選び導入してもらう仕組みです。

(1)研修
企業版ネウボラの運営委員である医師(産婦人科、小児科)や助産師、子育て検定協会や一般社団法人パパフレンド協会の子育てに関する資格取得者などが講師を務めます。

研修には、当事者(妊娠中・子育て中の女性や、その夫をはじめとした家族)向けのものと、企業の管理職・中間管理職や人事や総務担当者向けのものがあります。

前者では、具体的に困っていることをヒアリングしてアドバイスをします。後者は、自社の妊娠中や産休・育休中の社員へ伝えるための情報を知りたいというニーズが多いそうです。

(2)情報提供
妊娠中・出産後、子育て中の自社の社員に、どのような産前産後のサービスがあるかなどの情報を提供します。

一例を挙げると「ファミリーサポート」(通称ファミサポ)。言葉を聞いたことはあっても具体的な仕組みなどを知らなければ、たとえば「登録のために出掛ける必要がある」という課題も見えることはないでしょう。課題が見えれば、それに対して具体的な解決策を講じる、つまり支援に繋げやすくなります。

(3)相談
相談内容に応じた支援をします。中小企業では、妊娠・出産をする社員が、年にひとりいるかいないかというところも少なくありません。そうした場合、地域だけではなく、職場でも孤立することになりかねません。

筆者に寄せられる相談事例でも、職場で産休・育休を取得するはじめての事例となった女性が見られます。産休・育休の制度はあれど、形骸化しており、実際は結婚や妊娠を契機に退職をせざるを得ない企業風土で「まず誰かが産休・育休を利用して前例を作らなければ、後輩たちもあとに続くことができない」と、職場復帰後の厳しい風当たりのなかを耐えている女性もいます。

そうした日本の企業風土を変えるためにも、企業へ直接アプローチをする企業版ネウボラの取り組みが広まることを願います。

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