はじめに
役員の持株比率だとどうなる?
実は、似たような観点で、役員持株比率でも分析ができます。役員の保有比率が高ければ、役員の仕事のモチベーションにつながるからです。
こちらもリターン差がプラスとなり、役員の持株比率が高い企業のパフォーマンスが低いほうを上回りました。ただ、社長持株比率のほうがリターン差が大きいことは注目に値します。やはりそれだけ経営への影響力が大きいということでしょう。
このような社長持株比率と株式パフォーマンスは学術的な研究が行われてきました。
米国企業を対象に気になる報告も見られており、ある程度を超えると、社長の保有比率の増大は他の株主に対してデメリットになる戦略をとる可能性もあるということです。しかし、あくまでも可能性であり、こうした報告でも基本は社長の持株比率が高いと株式パフォーマンスも概して高いことが示されています。
上場企業が公表する有価証券報告書は、会社のウェブサイトで閲覧可能です。その中で大株主の保有状況が公開されています。
今回分析した社長の持株比率が上位2割の企業に関して、保有する比率の水準は5%程度です。つまり、5%を上回って社長が保有している企業の株式パフォーマンスが良いという傾向がわかります。銘柄を選ぶ際には、有価証券報告書からこうした情報を探すことも効果的な銘柄選別方法となるでしょう。