はじめに

クロネコヤマトでおなじみのヤマト運輸とDeNAが取り組む、新しい物流サービス「ロボネコヤマト」の実用実験がスタートしました。

ドライバー不足や再配達問題で大きく揺れる運送業界。自動運転社会を見据えた次世代プロジェクトをご紹介します。


目指すは無人運転

自動運転でやってきた無人の車と待ち合わせをして、“いつでも”“どこでも”自分の好きなタイミングで荷物を受け取る――。そんな夢のような社会が実現されようとしています。

4月17日、ヤマト運輸とDeNAは「ロボネコヤマト」の実用実験を開始。IT技術と物流ネットワークの融合を目指し、両社は2015年の秋頃から検討を重ねてきました。

最初の走行地に選ばれたのは、自動走行の実証実験地として指定されている国家戦略特区・神奈川県藤沢市。対象はその一部エリアとなります(鵠沼海岸、辻堂東海岸、本鵠沼)。

将来的には自動運転による無人配送を目指しますが、今回は実験段階のため、車にはドライバー付き。しかし「誰も乗っていない」と想定し、荷物の配送や受渡しにドライバーは一切関与しないとのこと。

では一体、どのように荷物は届けられるのでしょうか?

好きな場所で車と待ち合わせ

サービスドライバーに代わって荷物を届けるのは、車内に保管ボックスを設置した、合計3台の専用電気自動車。黄色いボディにかわいいネコのマークが際立つ、印象的な車体です。

今回提供されるのは、受け取る場所や時間を10分刻みで指定できるオンデマンド配送サービス「ロボネコデリバリー」と、買い物代行サービス「ロボネコストア」。

「ロボネコデリバリー」の利用者は専用サイトから受け取り場所と時間を指定。対象エリア内であれば、自宅以外の場所でも荷物を受け取ることが可能です。

指定場所へ到着する3分前には、自動音声でスマートフォン等に通知が届きます。

そして、車と待ち合わせた利用者は自らドアを開け、車内のタッチパネルにスマホ等をかざしてQRコードを読み取るか、暗証番号を入力。

ロックが解除された保管ボックスから荷物を取り出して、受け取り完了です。

地元を支援する買い物代行サービス

また同時にスタートした「ロボネコストア」は、地元の複数店舗の商品を専用のインターネットサイトで一括購入し、指定場所まで運んでもらえる買い物代行サービス。

時間や場所の指定、受け取り方法などは「ロボネコデリバリー」と同様で、購入から最短40分ほどで商品が届きます。注文総額が3,000円以上の場合は利用料金が無料(3,000円未満の場合は324円)。

外出が困難な高齢者や、オムツなどかさばる買物が多い乳幼児を抱える主婦などにうれしいサービスです。

現在、食品スーパー、ドラッグストア、飲食店など24店舗が「ロボネコストア」への参画を表明。今後も拡大していく予定です。

地元店舗を対象とした理由について、「行政や地元企業などと連携し、地域活性化に貢献していきたいという思いも込められています」とヤマト運輸・広報戦略部の秋山さんは話します。

多様化するライフスタイルに合わせて、さまざまなニーズに対応するロボネコヤマト。利用者からの評判はまずまずだそう。

「ロボネコデリバリーには『配達時間が明確なので受け取りやすい』、ロボネコストアには『普段お店に足を運んで食べているメニューが、温かいままで配送されてきて感動しました』といった声が寄せられています」(秋山さん)

今回の実証実験は来年の3月31日まで。両社は、この新しい受け取り方について検証を重ね、2018年を目処に一部の配送区間で自動運転の導入を目指します。

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