はじめに
アルバイトの場合は?
正社員の場合、「セルフレジ導入」で解雇することはできないことがわかりました。それでは、アルバイトではどうなのでしょうか。正規雇用ではないだけに、認められるような気もします。真相を法律事務所あすかの冨本和男弁護士に聞いてみると…。
冨本弁護士:「アルバイトの場合にも解雇の無効を主張することが可能と考えます。アルバイトは「期間の定めのある労働契約(有期労働契約)」(労働契約法第17条)ですので、使用者であるコンビニエンスストアは、「やむを得ない事由」がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間、労働者であるアルバイトを解雇することはできません。
解雇を「やむを得ない事由」がある場合に制限しているのは、契約期間中の労働者の地位を保護するためです。「やむを得ない事由」については、「期間満了をまたず直ちに契約を終了させざるをえないような事由」を意味すると考えられ、労働者が就労不能となった場合、労働者に重大な非違行為があった場合、経営環境の激変により運営が困難になった場合のことをいうようです。
セルフレジの導入だけでは「やむを得ない事由」に当たるとは考えられません。したがって、アルバイトの場合でも、セルフレジ導入のみを理由とする解雇は、無効と考えられます」
今後増える可能性が…
今後、セルフレジやAIの導入で職を追われるケースが増えると見られる日本社会。しかし、それを理由に「解雇」することは、原則難しい。経営者、労働者双方が、意識しておかねばなりません。
取材協力弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー)
取材・文:櫻井哲夫