はじめに

中2日でパリ市から食費補助が振り込み

次に挙げるべきボジティブな動きは補償です。外出制限と同時に政府が約束した補償には、飲食店や商業施設に対する一律1,500ユーロ(約18万円)の支給、これら企業への家賃、光熱費、ローン返済の先延ばし、従業員への一時失業給付金などがありました。

1ヵ月が経過した今、従業員10人以下の小規模飲食店や商業施設の家賃については、先延ばしではなく、3ヵ月間取り消すよう、財務大臣が大手不動産グループ各社に協力を求めています。

そして早くも、この要望に応じる企業が現れているのです。困ったときは助け合おうという連帯の意識は、共和国として成立しているフランスでは常に重視されています。

バス停に掲げられた咳エチケットと自宅にいることを促すポスターバス停に掲げられた咳エチケットと自宅にいることを促すポスター

私の個人的な体験としては、先週水曜夕方、パリ市から携帯電話にメッセージが入りました。子供のいる家庭で、食費補助が必要な世帯に、補助金が支給されるというお知らせでした。

緊急を要することなので「申請はなし」「自動的に口座に振り込まれる」と。中2日おいた土曜日の朝、確かに50ユーロ(約8千円)が振り込まれていました。パリに続き、海外県を含む他県でも、同じ動きがみられます。

この素早い対応は、CAF(フランス家庭手当金庫)との連携で実現されました。家族手当など生活保護を受けている世帯が対象だったようです。50ユーロは少額ではあっても、自分が見捨てられていないことが実感でき、励みになった家庭は多いはずです。私もフランスに納税していてよかったと痛感しました。いずれもスピードを優先し、柔軟です。

コントロールしつついかに外出制限を解除するか

現在フランス政府は、5月11日の外出制限解除に向けて準備を進めています。外出制限そのものの難しさもさることながら、解除後のショックをどうコントロールするかが非常に困難と言われています。

これまでの努力が水泡に帰すことがないように、一斉解除はせず、まずは学校(大学を除く)や商業施設、企業などから再開し、次の段階を待って飲食店、映画館、イベントなどが再開される予定です。

消毒用アルコールジェルを備え付ける店が増えている消毒用アルコールジェルを備え付ける店が増えている

これら詳細も、いい意味で流動性があり、当初マクロン大統領は高齢者の外出を保留としていましたが、5日後、世論を反映して変更。フランス国民全員が、5月11日から外出できる見通しとなりました。

フィリップ首相は「5月11日以降、フランス国民はウイルスと生きることを学ばなくてはならない」と表現しています。外出制限が解除されてもウイルスは存在すると強調し、薬やワクチンができるまでは以前と同じ生活には戻らないことを国民に伝えています。つまり、長い戦いになるということです。

この長期戦を戦うためには、変化に対応する柔軟さや、ポジティブな発想の転換、時には遊び心も、不可欠なのかもしれません。

Keiko Sumino-Leblanc / 加藤亨延