はじめに

日本株は目先、業績下方修正に要注意

日本国内では自粛ムードが強まるものの、株価の推移は至って堅調です。日本では4月7日に7都府県に対して緊急事態宣言が発令され、16日には対象地域が全国に広げられました。そうした中で日経平均株価は7日の最初の発令時の水準を超えて推移しています。

最大の要因はやはり米国株の上昇でしょう。感染の規模でいえば日本を大きく上回る米国ですが、感染一服の兆しが見え始めていることと、それによって経済活動の再開が視野に入ってきていることで、米国株の反発は顕著になっています。日本株の上昇はあくまでもそうした米国株の上昇に牽引された姿と解釈されます。

今後の日本株の方向性を占ううえで、カギを握るのは業績見通しの下方修正の有無や大きさだと考えられます。日米欧のリビジョン・インデックス(アナリストによる業績予想の修正を指数化したもの)について見ると、米国や欧州では直近で数値が大きく落ち込んでいるのに対して、日本の値はそれほど悪化していません。

日本企業の業績が相対的に良好であるということを意味しているなら、素直にポジティブに捉えられますが、必ずしもそうとは限らないでしょう。

欧米ではアグレッシブな業績見通しの修正によって、ある程度、業績の下方修正が進んだ状態にあると推察されます。しかし、日本では企業が業績見通しの開示を見送るなどして、アナリストが業績の悪化を十分に織り込み切れていない可能性があります。

その分、目先の株価には下振れリスクがあることを否定できません。これから決算発表が本格化していきますが、十分注意しておきたいポイントです。

ただ、中期的な観点からすれば、日本株の方向性はあくまでも上向きであると考えられます。IMFの世界経済見通しに基づけば、2020年の日本経済はマイナス成長を免れそうにありませんが、2021年には顕著な回復を遂げる予想となっています。

これはおおむね、冒頭で示した標準シナリオに沿う前提であり、年末の日経平均株価が2万4,000円程度まで回復することを正当化するものと考えられます。

最後に新興国については、今後、遅れて感染が拡大する可能性もあります。今や先進国の製造業を支える新興国で経済不安が強まれば、資金流出懸念を通じた通貨安が世界の金融市場を不安定化させるリスクもあることから、その動向には注視していきたいところです。

さらに、足元で生じた原油価格の急落がもたらすリスクを付け加えておくと、歴史的な低水準まで切り下がった原油相場が、仮に長期化した場合にはデメリットは決して小さくないと考えられます。

ダイレクトに影響を受ける米エネルギー企業の破綻懸念に加え、金融商品として原油に投資する主体の損失拡大、円高進行、産油国が運用するオイルマネーの株式市場からの引き揚げなどが懸念されます。

ただ、株式の見通しと同様に、年央頃までの感染拡大収束を前提とすれば、その後の緩やかな景気回復と、年末にかけての原油価格の切り上げが予想され、現時点でのリスクは限定的と考えます。

<文:投資情報部 チーフ・グローバル・ストラテジスト 壁谷洋和>