はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は深野康彦氏がお答えします。
夫39歳妻29歳、結婚2年目です。先日友人とたまたま保険の話になり、私たち夫婦が「今まで何一つ保険に入ったことがない」と言うととてもビックリされました。そして「絶対に保険に入るべきだ」とアドバイスされましたが、どの保険に入ればよいのか、選び方も種類もわかりません。保険には必ず入ったほうがよいのでしょうか?
「そろそろ子供がほしい」と話すと、「保険に入るなら妊娠する前に入らないと損するよ」とも言われました。保険の仕組みが複雑すぎて、ちんぷんかんぷんです。アドバイスいただけると幸いです。
(20代後半 既婚・子供なし 女性)
深野: ご質問の内容から判断すると、「保険=生命保険」のことを指していると思いますので、今回は生命保険に絞ってお答えさせていただきます。
「保険に今まで入ったことがない」と話したら友人からビックリされた、と書かれていますが、保障が必要なければ生命保険には加入しなくても問題ないので気にされなくてよいでしょう。
生命保険のポイントは「必要な時期に必要な保障を得る」ということです。
万一の場合、困る人はいるか?
ご質問者の方はご夫婦共に働いているのであれば、万一どちらかが不慮の事故などで亡くなったとしても、残された人が経済的な損失を被ることはほとんどないはずです。この場合の経済的損失とは、亡くなったことによって残された人が生活することができなくなること、と捉えてください。
逆にいうと、必要な時期になれば保険の加入を検討されるべきです。
ご質問者の方の場合、そろそろ子供がほしいと思われているようですが、子供は自分で収入を得ることができません。つまり、万一のことが起きれば経済的損失を被るため、保険に加入する必要があるということです。
奥さまが一時的に産休を取り仕事に復帰されるのか、退職して専業主婦になるのかなど、選ばれる生活形態によっても必要な保障、この場合は保障額が異なります。
産休などで一時的に休職されるだけであれば、万一の場合に経済的な損失を被るのは子供だけですが、奥さまが専業主婦になると2人になるからです。
また、お子さんを2人目、3人目と希望されているのであれば、当然ながら子供が増える度に必要保障額は増えると考えてください。
ただし、必要保障額は際限なく増えていくわけではなく、末子が生まれた時点で最も必要保障額は大きくなり、子供の成長と共にその額は減少していきます。子供が社会人となって、とくに財産を残すことなどを考えなければ死亡保障はほとんどいらなくなるのです。
子供が生まれたら定期保険を
お子さんが生まれたらご主人は死亡保険金が出る保険に加入されるとよいでしょう。生命保険は必要な時期に必要な保障を得るためですから、保険料の安い定期保険で十分でしょう。保障が一生涯続く終身保険もありますが、保険をやめた時の解約返戻金があることと、生涯保障が続くため保険料が高くなっています。
現在、生命保険に貯蓄効果はほとんどないことから、保障だけを得る目的として定期保険を活用されるほうがよいと思われます。
死亡保障とは別に、病気やケガなどに備える医療保険もありますが、貯蓄が十分あれば医療費は貯蓄で賄うことができます。医療費は貯蓄で賄うと割り切れれば、医療保険に加入する必要はないでしょう。
一方、あまり貯蓄額がないようであれば、ある程度の貯蓄が確保できるまでの大病やケガに備えるための医療保険に加入されるとよいでしょう。
ここで注意していただきたいのが、妊娠されると奥さまは医療保険を含め、生命保険に加入することができないということです。
保険への加入を考えるのであれば奥さまの医療保険を真っ先に考えられてください。ただし、出産時に帝王切開などになれば医療保険からの給付金が出ますが、普通分娩の場合は給付金が出ないことは忘れないでください。