はじめに
学校開放に参加しても友達とあまりお喋りできない
保護者の仕事や家庭の状況などによって、利用状況はまちまちです。学校や学級の規模にもよりますが、5人前後が出席していることもあれば、20人弱が過ごしている学級や日もあります。
子どもたちや保護者らからは、やはり一様になによりも早く学校生活が再開できるよう願う声が上がっていますが、一方でこのような声も聞かれます。
・もともと友だちと活発に遊ぶとよりも、黙々と絵を描いたり本を読んだり、ひとり遊びが好きだったりするタイプの子は、いまのほうが気楽に過ごせている様子
・少人数ずつ時間帯をわけ、子ども同士の間隔を空けて、校庭に出て遊ぶ時間もある。感染症対策として遊具は使うことのできないよう、テープが貼られるなどしているが、外に出て身体を動かすことができるのは、体力を持て余している子どもにとって、ストレス解消になっているようだ
・通常時より、登校は遅め、下校は早めと、短時間になってはいるが、規則正しい生活を送ることができてよい
またなかには「当初は学校開放へ参加させるつもりでいたのですが、新型コロナウィルス感染拡大の状況がここまでになるとさすがに…と思い、行かせないことにしました」という家庭もありました。
しかしさまざまな地域で、多数の教員や学校関係者、教育委員会、児童相談所、市区町村の役所などを取材したところ、貧困やネグレクト、虐待、DVなどの懸念のあるハイリスク家庭へ休校中に対応することの難しさ、悲惨な現実がありました。
ハイリスク家庭への対応は困難
厚生労働省は、2020年4月13日に、休校中の児童・生徒の状況の把握、また家庭訪問や緊急一時保護などの対応に努めるべく、学校との連携を図るよう、全国の自治体へ求めました。
ですが、それ以前から学校現場ではとうにその動きが取られています。学校開放が行われていない学校でも、少人数ずつの登校日や、健康観察を兼ねた面談日を設けたり、玄関先で距離を空けての家庭訪問を実施したりと、子どもたちの健康状態、家庭の状況を含め、確認と対応に努めています。児童相談所との連携も従来どおり行われています。それでも数多の壁にぶつかっています。
どのような点が、対応を困難にさせているのでしょうか。主に、下記のようなことが挙げられます。
1.学校開放を実施していたとしても、ハイリスク家庭に参加をしない傾向が見受けられる
2.年度を跨いでおり、学校の担任、児童相談所の職員、市区町村の役所の教育・子育てに関する部署の職員、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、地域の保健師なども異動の時期にあたり、学校、各関係機関ともに担当者が変わっている
3.新型コロナウィルス感染拡大の状況が刻一刻と変わり、その都度[日本政府(国)→都道府県→都道府県の教育委員会→市区町村→地区町村の教育委員会→各学校]の流れで対応を余儀なくされている。会議や協議を重ねて方針を決めては、また新たな要請や、感染拡大の状況、保護者たちからの批判などにより、白紙に戻っては一からやり直すことの繰り返しである
4.保護者からの問い合わせやクレームの電話対応に追われている
次回以降、実例を交えながら、現状をお伝えします。