多くの企業がテレワークに移行する中で、「働かないおじさん」や「妖精さん」と呼ばれる人たちの存在に、もやもやする人が増えているそうです。

「就業時間中にネットサーフィンをして過ごしている」「適当な行き先を告げてオフィスから出かける」など、さまざまな目撃情報が以前からありましたが、なぜ今、より注目が集まっているのでしょうか。

そこには働き方や、企業と人の関係性の変化など、「働かないおじさん」を取り巻く周囲の人たちの気持ちが表れています。これまで150社以上の企業とともに、企業と人の新しい関係性構築や、職場の働きがい・働きやすさ向上に取り組んできた筆者が解説します。

なお、記事中では「働かないおじさん」と記載しますが、男性や年配の方だけを強調する意図はなく、あくまでキーワード化されている通称として使用します。


活躍する人材像と「働かないおじさん」は対極

「働かないおじさん」とは、職場の人から「あの人は働いているのかしら?」と思われている人たち。テレワークが進んできたことで、そのような「仕事をしているふりの人」または「仕事をしているつもりの人」が、より目立ちやすくなったという声を耳にします。

新型コロナの感染が拡大する前から「企業で活躍する人材像」は変化しており、たとえば「成果や自身の仕事の提供価値を意識し、自分が一番力を発揮できる状況を理解して、その状況をつくりだす」ことができるような存在です。

しかし「働かないおじさん」がその対極の存在であると、テレワーク導入によって周囲から認識されるようになったようです。「働かないおじさん」が、就業時間に単に“いるだけ”だとすれば、今後活躍する人材とはほど遠いといえます。

リクルートマネジメントソリューションズが4月に実施した「テレワーク緊急実態調査」の中では、「達成状況を意識する」「自らゴールを設定する」「前提を見直す」という項目が、ワークの質とライフの質にも影響を与えることがわかっています。

また、もうひとつの今後活躍する人材像である「新しい技術も使いながら社内外の枠を越えて、さまざま人たちとコラボレーションする力」からも、「働かないおじさん」はかけ離れています。

これまでは、社内の似た風土で育ってきた人と協働すれば良い仕事ができたかもしれません。しかし、 テレワークの普及で世界中の優秀な人材と協働できる機会が増えた中で、周囲から見て何をやっているのかわからないソロワークの人や、IT環境に疎い人は、活躍が難しくなります。

このように、「働かないおじさん」という反面教師は、働く世界の変化を教えてくれているともいえます。