5月6日に期限を迎える緊急事態宣言ですが、未だ終息への道筋が見えにくい中で延長の可能性も見られています。

従業員の休業手当を国が助成する雇用調整助成金などの制度もありますが、自粛が要請された企業では、営業していなくてもお店の賃料や従業員の給料に加えて、会計の帳簿上は過去の設備投資の償却もかかるため、費用が膨らんで赤字となるなど厳しい環境が続いています。こうした中、どのようにお金を調達して、資金繰りしていったら良いかが問題となる企業も少なくないようです。

業績が赤字でも資金を調達して、日々のお金の支払いをしのげば、会社は倒産を免れます。そしてメインバンクとの関係が強い企業は、比較的、そこからお金を借りやすいと見られます。今回はメインバンクの結びつきと株価との関係を調べました。


メインバンク制の役割は

実は、メインバンク制は日本の企業を支えるため、歴史的に大きな役割を担ってきました。メインバンクから見ると、企業に対して役員の派遣などができることがメリットになります。

その見返りとは言わないまでも企業側からは、特にお金に困った時に融通してもらうのです。少しアカデミックな言い方をすると、メインバンクは企業に役員派遣することで、企業が上手く経営しているのかを監視します。

そして大株主となっているケースも多いですが、普段は経営への直接的な干渉や株式の売却はしません。しかし業績不振に陥った時には経営状況を監視したり、さらに危機的状況になると緊急融資など企業を救済してきました。

こうした点から考えると、メインバンクとの結びつきが強い企業は厳しい経営環境に耐えやすく強く株価も期待できるかもしれません。

東証1部企業を対象に分析

そこで実際に調べてみました。

毎年1回、9月末時点で取得できる情報を使って、東証1部企業を対象に企業ごとのメインバンクの株式保有比率を調べます。株式保有比率が高い企業の方がメインバンクとの関係が強いととらえます。そして、比率が高いほうから2割までの会社と、逆に低いほうから2割までの会社をそれぞれ抽出します。

東証1部企業は2,000社以上ありますので、それぞれ400社以上が選ばれます。そして、メインバンクの株式保有比率が高い企業の平均株式パフォーマンスと低い企業のパフォーマンスを毎月比較して、その差も2015年2月から2020年1月までで平均してみました(過去5年間)。

下表は、見やすいように年率ベースに直しています。つまり、年間を通じて「メインバンクの株式保有比率が高い企業」と「低い企業」が平均的にどの程度リターンに差があるかを見ることができます。

【東証1部上場企業でメインバンクの株式保有比率が高い企業と低い企業の株式パフォーマンス格差】

リターン
持ち株比率が高い企業 −1.2%
持ち株比率が低い企業 0.6%
     差     −1.8%

(注)メインバンクの株式保有比率が「高いほう」から2割の企業と、「低いほう」から2割の企業の月次株式収益率の平均をそれぞれ年率換算する。“差”は「高いほう」から「低いほう」を引いて算出。分析対象期間は2015年2月から2020年1月までの5年間平均。
(出所)日本経済新聞社(日経cgs)のデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

分析結果は株式保有比率が高い企業のリターンはマイナスとなりました。一方、低い企業はプラスとなり、リターンの差がマイナスです。メインバンクの株式保有比率が高く、関係が強い企業の方が、株式パフォーマンスが厳しいことがわかります。