はじめに

もう20年も前になりますが、金融犯罪ばかりを取材して記事を書いていたことがあります。なぜ、その金融業者を怪しいと思ったのか。何をどう調べて記事にしたのか。そのプロセスは真偽を見極めるのに役立つと思いますので、いくつかの事例を挙げて解説してみましょう。


ここだけのおいしい話はない

まず大前提として、「ここだけのおいしい話」はないということを、肝に銘じてください。こう言って近づいてくるニセ金融業者は大勢いるのですが、本当においしい儲け話だったら、人に話す前に自分でやっているはずです。

さて、私が以前、勤務していた会社の郵便ボックスを開けると、そこに入っていた1枚のチラシには、次のコピーが書かれていました。

「イマージング・ジャパン・ファンド 外国投資信託としては初の元本保証型・円建て運用。運用利回りは年4.8~6.8%以上」

そもそも投資信託の広告にチラシを用いること自体、業界ルールで認められていなかったので、その事情を知っている自分としては、この手のチラシが郵便ボックスに入っていた時点で、まともな業者でないことはわかりました。

でも、業界ルールを知らない人が大多数だと思うので、それを前提にしたうえで、どうやってニセ金融業者であることを見抜くのかを考えてみましょう。

投資対象をチェックして怪しいかどうかを判断する

まず、このコピー自体がダメダメです。投資信託で「元本保証」はありえませんし、運用利回りの提示も認められていません。なので、この時点で完全に真っ黒なのですが、なぜか不思議とこの手の謳い文句にコロッと引っ掛かる人が多いのです。

少しでも高い利回りが欲しい。けれども元本を割るリスクが怖いという人が、結構大勢いるのです。

でも、銀行以外の業者が「元本保証」と「利回り」を表示してお金を集めると、出資法という法律に抵触します。なので、最近は元本保証を謳わず、利回りだけ提示しているケースを見かけます。

もし、利回りを提示している怪しい投資商品を見かけたら、何に投資するのかをチェックしてみて下さい。ちなみに「イマージング・ジャパン・ファンド」は、日本国内の不動産、不動産担保金融、成長企業や個別プロジェクトに投資するということでしたが、どう見てもリスクのある投資対象ばかりです。それなのに利回りを提示してお金を集めていました。どう考えてもおかしな話です。

最近の事例だと、FXや暗号資産で運用するファンドなのに、なぜか月利2.5%の利回りを提示してお金を集めている業者がいました。月利2.5%って、単利で計算しても年利30%ですから、それを確定利回りであるかのように表示している時点で、いかにも怪しいと気づかなければなりません。

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