はじめに
国産車でも備わった空気清浄機能
ここまで見てくるとフィアットは欧州のみ、テスラのラインナップは高額車となると、手軽にはキャビン内のクリーン化は手に入らないのでしょうか?
まず考えられるのは最近自動車にも搭載が進んできたパナソニックの「nanoe(以下ナノイー)」、そしてカー用品として人気が高いシャープの「プラズマクラスター」など車内用の高機能空気清浄機です。
パナソニックのナノイー、ナノイーXはトヨタ車やレクサスなど計39車種に搭載。三菱自動車、スズキなど主要メーカーにも実績がある(2019年10月末現在)さらにホンダ、スズキ、マツダ、スバルではオプションとしても採用
これまでナノイーをはじめとした空気清浄機の能力で注目していたのは、花粉症対策やPM2.5やアレルギー物質の抑制などに役立つから、と考えられたからだと思います。当然、この花粉の季節になると装備したとか、購入したという人たちが増えていくわけです。最近ではトヨタやレクサス、スバル、スズキ車などにもナノイー機能が搭載されたモデルが増えてきています。
しかし、今回の問題はコロナウィルスなどへの削減効果です。注目すべきはウイルスに対して空気清浄の力はどれほど有効か、ということですね。空気中には花粉、ダスト、PM2.5、細菌、ウイルス、そして揮発性化学物質などの浮遊物があるわけですが、こうした大きさの違う有害物質に対して、有効かどんな効果があるか? 中でもウイルスのサイズは100nm以下。マイクロで表すと0.1μm(マイクロメートル)以下ということですから、花粉やPM2.5、細菌などよりかなり小さいことになり、かなりやっかいだといわれています。
対してシャープは2004年の発表ですが、北里研究所メディカルセンター病院と共同で、コロナウイルス科に属するネココロナウイルス(新型コロナウイルスを示すものではありません)に対して、プラズマクラスターイオンによる不活化実証実験を実施。その結果、40分以内に99.7%を不活化、すなわちウィルスを破壊し、感染力を抑える働きがあることを実証した、とあります。一方のパナソニックも2012年、ナノイーが未知のウイルスに対しても抑制効果が期待できると発表しています。
もちろん、シャープもパナソニックも今回の新型コロナウイルスに対する効果、効能を公式に発表していませんから、確実な抑制効果については不明としか言えません。しかし「無いよりは確実に安心できる車内空間を作ること」は確かだと思います。
また車検などでエアコンの「クリーンエアコンフィルター」などの交換を行うことがあります。その場合、メーカーによっても違うのですが花粉のみに対応するものとか、場合によっては抗菌シート(不織布)、脱臭シート(粉末状特殊活性炭)、帯電シート(不織布)の3層構造になっていて、ウイルス、カビ、大腸菌などをカットするものまであります。
この場合、脱臭シートで臭いをブロックし、帯電シートで超微細な花粉、PM2.5、カビ、ホコリ、排気ガスを吸着することになっていますが、やはり通常品より少し高めで、約3倍ということも。例えばノーマルが3千円ならば1万円弱という感じでしょうか。
いまだにその正体も解明されず、ワクチンも特効薬も無い状態です。そして、こうした装備品は確実に高価になるとは思いますが、この未知のウイルスとの戦いに勝利するため、こうした空気清浄能力の高い装備に期待しながら注目したいと思います。