はじめに

原油価格は落ち着きを取り戻す

4月初旬に開かれた「OPECプラス」の臨時会合では追加減産が決定されました、今や世界最大の産油国の米国が参加していないことや、供給減(減産幅)をはるかに上回る需要減を材料として、原油先物価格はOPECプラス減産合意後も下落し、WTI原油先物価格(期近物)は史上初のマイナス圏に突入しました。4月の筆者最大注目点として挙げていた原油価格でしたが、さすがにマイナス圏突入は予想できませんでした。

ただ、実際の通商取引における原油価格がマイナスで取引されるかというと、そんなことはありません。読者のみなさんも、ガソリンスタンドで車にガソリンを入れて、現金をもらったなんていう経験はないですよね。

先物というのは、本来は実需のヘッジ機能として重要なマーケットなのでしょうが、現在は「先物=投機対象」との意味合いが濃くなっているのではないかと思っています。

実際、4月に話題になった、米最大の原油価格連動型上場投資信託(ETF)、「USオイルファンド(USO)」が原油市場の混乱を誘発しました。WTI先物6月限のポジションすべてを期先物にロールオーバーするため売却し始めたことに投機筋が便乗して、値幅を大きくしたもようです。

こういった投資商品のテクニカルな動きや、投機筋の便乗が今後も原油価格を不安定にする可能性は出てくるものと思われます。限月交代が近づいてきたときには引き続き警戒しなければなりません。

Reopen(経済活動再開)への期待

引き続き、弱い経済指標や原油価格の下落等への警戒は必要と思われます。ただ、前述したように、市場が語る「リスクオフ」への反応は小さくなってきています。

毎日ニュースヘッドラインを見ていると、「reopen(経済活動再開)」という単語や「relax lockdown(ロックダウン緩和)」というフレーズが増えてきています。市場もそれらの単語・フレーズに反応しやすくなってきているように感じます。

市場の目は7〜9月期の経済回復に目を向け始めている証拠と思われます。前回記事で書いたように、目先のリスクオフは、その先のリスクオンに向けての投資のタイミングではないかと思っています。少しだけ上値を下方修正しましたが、2020年7〜9月期のドル円は「1ドル113円-114円方向」との予想を維持しています。

<文:チーフ為替ストラテジスト 今泉光雄>