はじめに

株式市場は、新型コロナウイルスと向き合いながらの相場展開が続いています。2020年2月中旬までの米国株式市場は、ダウ工業株30種平均やS&P500種株価指数(以下SP500種)が過去最高値を更新し、強い相場が続いていました。強い米国経済と、米連邦準備理事会(FRB)による予防的な金融緩和の実施により、ゴルディロックス(適温)相場が続くとの見方が広がっていました。

その後は新型コロナの感染拡大に伴う経済混乱への警戒感が強まり、世界的に株式相場が調整し現在に至ります。世界各国でウイルスを封じ込めるための都市封鎖や活動制限が実施され、経済損失は2008年9月に発生したリーマンショック時を上回る規模が想定されるとの声も聞こえてきます。


新型コロナ後の世界を見据えて

一方、足元では先進国で政府による経済制限が次第に解除される方向にあり、日本国内においても政府が5月14日より39県で緊急事態宣言を解除。徐々にではありますが、人々の生活が元に戻りつつあるようです。

足元の経済統計は短期的な悪化が免れないところではありますが、今後は新型コロナ禍で失った経済活動を取り戻す動きが次第に活発化すると期待されます。

もちろん、新型コロナの感染再拡大に対する懸念は拭えません。過去の例から見ても、疫病が改めて感染拡大する際はより強い感染力を伴うケースが多いようです。

しかし、再び感染が拡大したとしても危機を一度経験したことにより各国政府の素早い対応が想定されるほか、ワクチンの開発や治療薬の承認も始まっていることから、大きな混乱にはつながらないと考えられます。

VIX指数が表しているもの

相場の行方を占う上で注目される指標の一つにVIX指数があります。別名「恐怖指数」とも呼ばれ、投資家の心理を表すといわれています。VIX指数は、米シカゴ・オプション取引所(CBOE)がSP500種のオプション価格を基に算出するVolatility(ボラティリティ)指数です。

Volatilityは直訳すると「落ち着きのない」や「移り気」などの意味になりますが、金融用語では「変動性」あるいは「株価変動率」などの意味で用いられます。VIX指数は市場参加者による今後1ヵ月の株価予想変動率を示しており、オプション取引を基に算出している点がポイントです。

通常は先物やオプションは株式など市場の先行指標として用いられ、オプション価格は株価の変動が小さくなると安くなり、逆に株価の変動が大きくなると高くなるという性質があります。

従って、VIX指数の場合も、市場参加者が今後の株価変動が大きくなると予想すれば上昇します。VIX指数の上昇は、株式市場の急な下落や上昇が起きる可能性が高まるという意味として捉えられることが恐怖指数と呼ばれるゆえんです。逆に、VIX指数が低いときは株式市場が安定しており、市場参加者が、株価が急に変動する可能性が低いと見ていることを意味します。

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<写真:ロイター/アフロ>

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