はじめに
「リノベ」「リフォーム」、どっちが正解?
ところで、住宅情報サイトや広告でよく目にする「リノベ」の文字。リフォームにはなじみがあっても、リノベとの違いが分からないという人も多いのではないでしょうか。
そもそもリフォームは和製英語。欧米ではリノベーションという言葉が使われています。日本でもここ最近リノベという言葉が定着し始めましたが「住宅情報サイトによって定義が異なる」と島原さんは言います。
「リノベ、リフォーム、どちらも明確な定義はありません。ただ、リフォームは水回りなどの機能を直す、リノベーションは間取りを変更するなどして現代的なつくりに変えるという意味で使われていることが多いようです」(島原さん)
さらに、「リノベマンションを探している人も、大きく分けると2つの層に分かれる」と島原さん。その違いを説明してもらいました。
(1)「リノベ済み物件」を探している人
・不動産会社が買い取って手を入れたあと、「リノベ済み」として売り出されている物件がターゲット
・価格を優先する人が中心
(2)「リノベ用物件」を探している人
・自分好みにリノベするため、手を入れる前の中古物件がターゲット
・住まいへのこだわりが強い人が中心
「自分の手でリノベをしたいという人の多くは、新築マンションにありがちな画一的な間取りや、安っぽい内装や設備を好まず、自分好みに作り変えたいという願望を持っている人が多いです。中には新築を購入して入居前にリノベする人もいます」(島原さん)
自分好みの家と聞くと、インテリア雑誌に出てくるようなセンスの良い家だけを思い浮かべる人も多いのでは?。でも、「リビングで遊んでいる子どもの様子が分かるよう、キッチンを壁付けから対面式に変えたい」「家族でゆったり過ごせるよう、3DKの間取りを2LDKに変えたい」というように、少し手を入れるだけでグッと住みやすくなるということも。リノベには「設備や間取りを今の生活様式にあったつくりに変えて暮らしやすくする」という意味合いもあるのです。
しかし、そうはいっても中古は中古。築年数が経っているのに適切なケアがされていない場合、住んでから大きなトラブルが生じる可能性も。そこで「買う前に知っておきたいポイント」について、次回から詳しく解説します。
島原 万丈
株式会社LIFULL/LIFULL HOME'S 総研所長1989年株式会社リクルート入社。2005年より リクルート住宅総研。2013年3月リクルートを退社、同年7月株式会社ネクスト(現LIFULL)でHOME'S総研(現LIFULL HOME'S総研)所長に就任。他に一般社団法人リノベーション協議会設立発起人、国交省「中古住宅・リフォームトータルプラン」検討委員など。