はじめに

最近、急に浸透しつつある「オンライン飲み会」。新型コロナによる外出自粛を機に、友人と楽しむようになった人も多いのではないでしょうか。ただ、上司・先輩との飲み会となると話は違うもの。しつこい誘いにうんざりしたり、「自宅で上司に絡まれる」のがちょっと辛かったりした人もいるのでは? 実態に迫りました。


上司からZoom飲み会に誘われたが

広告会社に勤める森田望さん(仮名)は、コロナで職場が全面テレワークになっているある日、直属の上司から「Zoom飲み会」に誘われました。翌日の勤務終了直後の予定で、部署でも職場への“忠誠心”が高そうな数人が社内SNSで招集を受けたようです。

平時に決して頻繁に飲みに行くほど、仲が良いという訳でもない森田さんの職場。「勤務外の貴重な在宅時間を、なんで上司との会話に費やさなくてはいけないのか……」。愚痴る森田さんでしたが、SNSでメンバーに「参加の可否」を聞いて回る上司の様子を見て、変に目を付けられないよう参加することにしました。

当日夜はちょっと意外な展開に。結局、最初から最後まで真面目にオンライン上で上司との飲みに付き合ったのは、森田さんだけでした。ある同僚はドタキャン、他の人は「深夜なら参加できるのですが……」と、飲み会の開始直後に言い訳を切り出すなど、次々とオンラインから離脱。早々に、森田さんは上司との数時間の“さし飲み”に突入することに。

「当然、全く盛り上がらなかった。上司の方もあまり楽しくなさそうだった……」。 “時間外労働”にうんざりした森田さんでしたが、職場では明らかに自分より上司と仲が良さそうだった同僚たちの、オンラインで垣間見せた冷淡な態度にもちょっとびっくりしました。

オンライン飲み会を嫌がるサラリーマン

実際、コロナを機に急増した「社内オンライン飲み会」を嫌がるサラリーマンは少なくないようです。SNAPLACE(東京・品川)が運営する女性向けメディア・Lip Popが4月25日に10~50代の男女100人に実施した調査によると、約7割が会社のオンライン飲み会について「参加したくない」と回答しました。

理由としては「せっかく会社の人達と会わずに済むようになったのに、わざわざオンライン飲み会に参加してまで顔を合わせたくない」「家にいてまで、わざわざ会社の人と飲みたくない」などが挙げられました。やはり、自宅は「私」の空間なので、仕事でしか付き合わない上司や同僚が入ってくることへの違和感が大きかったようです。

あまり歓迎されているようには思えない、社内オンライン飲み会。それでも上司が誘いたがり、そして部下に煙たがられてしまうのはなぜでしょうか。約700人のスタッフ全員がコロナ前からリモート勤務を実施しているキャスター(宮崎県西都市)の取締役で、テレワーク業務の実践・分析に詳しい石倉秀明さんに聞きました。

石倉さんは社内オンライン飲み会をやりたがる上司について「無自覚に悪気なくやっているのではないでしょうか。むしろ必死なのかもしれない。もともと(コロナ前の)リモート勤務をしていなかった時期には、働く空間や情報、理念を共有するのがマネジメントの前提だった。それが常識としてまかり通っていたからです」と分析します。

つまりは、テレワーク化のため職場で部下の顔を見ることができなくなり、今まで通りマネジメントしづらく不安を感じ始めた上司が求めた“コミュニケーション”がオンライン飲み会だった、と言えるようです。空間の制約が無く、飲食店を予約する必要も無いオンライン飲みは一見、気軽に誘いやすい手法と言えなくもありません。