はじめに
非常に厳しい日本経済
まず日本経済と言った時に最初に思い浮かぶのはGDP(国内総生産)でしょう。物価変動を考慮した実質GDPを見ていくと、直近の2020年1~3月期は前期比年率▲3.4%です。昨年の10月に消費増税をしましたが、増税直後の期間である2019年10~12月期は同▲7.3%となりました。2四半期連続でマイナス成長となっていますが、それをもってリセッション(景気後退)とする場合もあります。
日本のGDPの半分以上を占めるのが消費ですが、私たち家計が使うお金の量は既に減っています。総務省が発表した2020年3月の「家計調査」を見てみると、二人以上世帯の消費支出は前年同月比▲6.0%と大きく減少しています。これで6ヵ月連続の減少となっています。3月から数えて6ヵ月前というと、昨年の10月となりますから、日本の家計は消費増税と新型コロナウイルスのダブルパンチでボロボロになっているといえます。
しばらく家計も厳しい状態が続く
株価は戻ってきていますが、家計は非常に厳しい環境が続くでしょう。これまで唯一堅調だった雇用環境、労働市場にも変化が見えています。
総務省が発表した2020年4月の「労働力調査」を見てみると、非正規雇用が単月で97万人も減少しています。一方で、失業率(季節調整値)は前月比+0.1%の2.6%と依然として低い水準を維持しています。
この2つの数値は矛盾しているように見えるかもしれませんが、あまりにも急にハローワークに失業給付の申し込みが殺到したことで事務手続きが滞ったり、失業者が感染を避けるためにハローワークに行かなかったことなどが要因だと推測できます。つまり、実際の失業率はもっと高いのでしょう。まだ正規雇用には新型コロナウイルスの影響はそこまで出ていませんが、既に非正規雇用が大打撃を受けているのを見れば、全員が将来に備えて更に財布の紐を占めると考えられます。
このように、足元の企業業績も悪く、先行きが見えない。経済成長、家計の消費、雇用環境も悪化している。このような状況下での株高ですから、過度なリスクを取るのは避けた方が賢明でしょう。