ここ最近の為替市場における顕著な特徴はドル高修正の進捗です。ドル円相場だけを見ているとなかなか気づかないのですが、5月中旬以降、多くの通貨に対してドルは値を下げました。それでは、現下の状況を詳しく解説したいと思います。


ドルの総合的な値動きを示すドル指数

言うまでもなく外国為替は通貨と通貨を交換する取引であり、どちらかが上がれば、もう片方は下がります。いわゆる「ゼロサムゲーム」と呼ばれるもので、両者が得をするウィンウィンの関係はありえません。

たとえば、ある国が通貨安誘導を行ったと仮定すると、相手の通貨は必ず上昇します。自国の利益のために為替市場を利用すれば、不利益を被る相手がいることから、「近隣窮乏化政策」として批判の対象になりやすいわけです。特に米国が為替介入を嫌うのはこうした理由からです。

前置きが長くなりましたが、本題に入りたいと思います。ドル円相場は言うまでもなく、ドルと円の通貨ペアです。円の上昇(下落)はドルの下落(上昇)と同義ということになります。今年に入ってからドル円相場は乱高下しましたが、最近は比較的狭いレンジで一進一退が続いています。両通貨の力関係がかなり拮抗していることを示しており、少なくとも基調的に円高ドル安が進んでいる状況ではありません。

日本人はおおむね円を中心に為替相場を見ているわけですが、世界にはさまざまな通貨があります。多くの国ではここもと自国通貨が上昇している、つまり、ドルが下落しているという感覚ではないでしょうか。主要通貨に対するドルの総合的な値動きは「ドル指数」で追うことができますが、5月中旬以降、確かに下落基調が鮮明となっています(下図参照)。