はじめに

「他国に頼らない強い経済」へ

これら生活の中に見られるニューノーマルの数々は、小さなことながらもフランス社会が変化の過程にあることを示しています。では、アフターコロナのフランスは、国としてどのような新しい社会を目指すのでしょうか。

そのビジョンを、マクロン大統領は6月14日のテレビ中継で「より幸せに、より良く生きられる社会」とし、そのためには他国に頼らない強い経済が不可欠だと語りました。

しかし、2ヵ月間に及んだ外出制限の影響は甚大です。4月の失業率は22.6%、1996年以降最も高い数値でした。またフランス国立統計経済研究所(INSEE)が発表した5月27日の調査結果からは、コロナ禍の影響で国内総生産(GDP)が21%減少したことがわかりました。

このような現場の中で、給付金や一時失業手当などコロナ禍対策にあてた5,000ユーロ(約58兆5,000億円)を、これから国を挙げて埋めてゆかなくてはなりません。そんな折も折、さらに悪いことにフランス航空大手エールフランスと自動車大手ルノーは、2社合わせて1万2,600人の解雇を予定しています。

より幸せに、より良く生きられる社会を実現する、強い経済づくりの具体策は、7月にマクロン大統領がテレビ中継で明らかにする予定です。マクロン大統領自身が予告した通り、「環境を優先した」「新しい産業」が、「フランス国内」に起こらなくてはなりません。その新しい産業で失業問題を解消し、公債を調整していかなくてはなりません。

ハードルは非常に高いですが、これまでの高度資本主義経済社会に代わるさらに魅力的な新しい価値が掲げられ、その具体策が示されることを全てのフランス国民が期待しています。マクロ経済におけるニューノーマル誕生が必要とされています。

(Keiko Sumino-Leblanc / 加藤亨延)

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